似て非なる
倒した証拠はその時による。
鱗を剥いで肉だけにした尻尾は、火にかけてご馳走になってもらう。
前回はこれを倒した証拠として収めたが。
今回は頭を持っていくことにする。
倒れたドラゴンの頭は簡単に切れる。
『して欲しいことは?』
クレアが暇そうに後ろで見ている。
「逆に、して欲しいことはないのか?」
「質問で返さないで」
「……特にない」
剣で頭の下辺りに切り込みを入れてから捻る。
ちぎれて離れた頭をクレアに渡す。
「頼んだぞ」
「えっ?」
「これを、持っていてくれ」
「う、うん……?」
ドラゴンの肉も火に並べて数分。
「にゃあ!」
ルビーが俺の前で手をパタパタしてきた。
小さな風が肉の匂いを押し付けてくる。
「うわっなんだこれ」
ドラゴンの焼ける匂いはとても息苦しい。
「……」
しばらくして尻尾ができあがり、ルビーに投げる。
「にゃー!」
尻尾を楽しみにしていたらしく、抱きしめてかじりついていた。
「早めに食いたかったから、火を強めるために……」
舞い込んできた匂いが残ってないか確かめると、割と残っていた。
「ちょっと、なんでこれ持たせたの?」
「特に意味はない」
「は?」
クレアは気の抜けた顔を作り、首を振ってなかったことにする。
「持たせたら面白そうだなって」
「呆れたわ」
その場でドラゴンの顔を置くと近づいてきた。
「どうした?」
「ドラゴン食べてみたいなあって」
「いいぞ」
焼けた肉を挟んで持ち上げ、クレアに見せる。
『枝でレディの口元に運ぶのはどうかと思わない?』
ソランみたいなこと言いやがって!
「まさか、手でやれって?」
「冷ましたらできるんじゃないの?」
「……クレアはそれでいいのか」
「あんまり気にしないし」
仕方ない、してあげよう。
息を吹いて冷ましてから中指と親指で持つ。
「食え」
あーんと口を開けたクレアに指ごと肉が持っていかれた。
指を抜いて火の中の肉に構う。
「臭い肉だけど、おいしいかも」
「良かったな」
ルビーが尻尾を頬張ってる時点でまずくはないはずだ。
俺も軽く食べてからしっかり準備する。
残ったドラゴンは森へのお供え。
「……食べるべきじゃなかった」
「舌に臭みが残る感じ」
「それだ」
ドラゴンの頭をクレアに頼むと嫌そうな顔をされた。
来た道を引き返していると不意に爆発音と共に揺れる。
ザアザアと揺れた木々から鳥がバタバタと羽を散らして飛び立つ。
『な、なに?』
「俺も分からない」
「ドラゴン……?」
「人間同士で争うくらいだ、何もおかしくない」
早歩きで帰ろう、巻き込まれるなんてごめんだからな。




