首掻き
歩いててよかったこと。
それはドラゴンに会えたことだ!
『かっこいいな!』
緑の中で目立つ黄色の鱗は場違いだと言いたくなる。
「ガオー」
「ちょっと、怖い」
クレアが俺の背中に逃げてしまった。
「ところで、倒すドラゴンの色は?」
「この色だけど」
歩いてて悪かったこと、討伐対象に出会ったこと。
「しょうがない、勝負だ!」
ルビーに目で合図を送るとシャキンと剣を抜いてくれた。
『グオオ!』
ドラゴンが体を倒して先制攻撃。
クレアを連れて下がり、入れ替わるようにルビーが前線に立つ。
「行け! ルビー!」
「にゃー!」
キンキンと楽しそうにドラゴンと戦っている。
「……あんたは?」
「ルビーに強くなってもらうつもりだ」
「一人ではやれるとは限らないし」
そう言ってクレアは手をドラゴンに向けると火の鳥を放つ。
炸裂すると煙を放って消えていく。
ダメージにはなってなさそうだ。
「グオ!」
キンキン、弾いた爪の火花がキラキラ散っていく。
吐き出された火の液体をルビーは軽い身のこなしで避けきる。
「……一人でやれそうだな」
「そう?」
「決め手さえ用意すれば勝てる、ドラゴンの目潰しを頼めるか?」
「眩ませるくらいしか」
「九秒で良い」
俺はその場で腰を落として両手を組んで構える。
『ルビー!』
クレアが手を向けてドラゴンの視界を火で潰す。
ルビーは俺の体勢を見て意図を汲んでくれた。
目の前で俺の手の上まで跳ね、片足が乗る。
『にゃ!』
ルビーの掛け声と同時に手を振り上げた!
ドラゴンの首まで舞ったルビーは横から剣を強引に突き刺してしがみつく。
『グアッ!』
ドラゴンの抵抗を受け入れながら剣を逆手で持ち、一気にドラゴンを蹴り飛ばして離れる。
首の肉を切り裂きながら持ち主と離脱する剣。
ルビーは綺麗に着地すると吹き出た返り血を背中で浴びた。
『……』
首を掻かれたドラゴンはドシンと崩れ落ちる。
「にゃ!」
胸を張ったルビーがドヤ顔で剣を鞘にシャキン。
「……にゃ! にゃにゃ!」
拍手して欲しそうなのでパチパチと手を叩いた。
「にゃ」
足りないのか、クレアの方をじっと見る。
「……何?」
「にゃ」
パチパチと静かに音が鳴った。
「にゃあ!」
にぱーっと笑うと満足そうにその辺でゴロゴロし始めた。
「わがままに付き合わせて悪いな」
「実際、凄かったから」
ルビーのおかげであっさり終わったドラゴン退治。
俺より、強いかもしれない。
「さっさと処理しよう」
獲物は取られる前に自分のモノにしておくべきだ。




