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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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商売センス









 ムクリと起きたカゲはふわふわとあくびを手で隠した。


『カゲは潰れた、酔いつぶれた』


「そうだな、ほろ酔いではなかったな」


「なぜここに?」


「運んだんだよ」


 カゲがよく分からないと首を傾げる。


「いたっ」


 酒に飲まれたのか、頭が痛むらしい。



「カゲは、捨てられると思っていた」


 ベッドの上で膝を抱くとしょんぼり顔を埋める。



「捨てるなんて言ったか?」


「昼間に酔い潰れても俺には関係ないと、エムは言っていた」


「ああ、関係ないからな」


「関係ないなら捨ておけば良いものを……」


 カゲは思ったより悲観的なのかもしれない。


「俺は一人でも動ける人間だ」


「……」


「仲間一人背負って物事をこなすことは、容易なんだ」


 だから俺には関係ないと言い加えた。



「エム、すまない」


「分かったらさっさと行くぞ」


 手のひらを見せるとカゲはパチリと握った。


 引き上げてベッドから下ろすと。


 痛そうに空いた手で頭を抑えた。


「大丈夫か?」


「大丈夫、辛いだけ」


 痛そうにされると俺まで辛くなる。


「どうすればマシになりそうだ?」


「カゲは、背負われたい」


「背負えば良くなるんだな?」


「……」


 とりあえずカゲに背を向けてしゃがむと乗ってきた。


 よいしょと立ちながら背負ってみる。


「どうだ?」


「良くなるとは、言っていない」


「じゃあ降りるか」


「それはそれ、これはこれ」


 首に回っていた手がキュッと締まった。


「よく分からないな」


「容易ならば気にするべからず」


「そうする」


 部屋を出て宿を後にした俺達は遅めの夕食を考える。


「にゃーん」


 静かについて来たルビーは隣で俺をじっとみていた。


「……なんだ?」


「にゃーーん」


 文句ありげに鳴くとスタスタ歩き始めた。



 ついていくと小さな屋台に。


「にゃー」


 肉が書かれた看板を指さしたルビー。


「さては、食べたいんだな」


 おいしいお肉が食べたいと、そういうことだと思った。


「カゲはどう思う?」


「食べたい」


「そうか」


 近づいてみると屋主が手を招いてくれた。



『さあ、注文を聞こう』


「焼き鳥は?」


「残念無念、取り扱っていない」


「焼豚は?」


「無知文盲のおいらには扱えねえ」


「牛肉はどうなんだ? ファングの肉でもいい」


「あぐら水餃、可否の鈍りってんでい」


 よくわからないことを言われてはぐらかされ。


「お品書きとかないのか?」


「あるぜ! 吟味して決めな!」


 バンッと投げ渡された一冊の大きな書物。


 片手では開けれないのでルビーに渡して開いてもらった。


 寂しい白紙に刻まれた一文。



 鶏皮串。



『へっ、まだそんなに輸入できるほど成長してねえんだ』



 じゃあ注文聞くなよって思った。



「にゃああ!!」


 ひと目で品薄と理解したルビーは不満そうにお品書きを地面に叩き付ける。


「お、怒らんでくれー」


「これは仕方ない」


 猫耳族もブチギレるレベルの出来事だったようだ。


 吟味して決めなって言われて一つしかないのはどうしようもない。



「にゃあ〜〜」



 期待していただけにご立腹らしく、鉄の胸当てに爪を立ててキリキリ。



「分かった! 鶏皮串を好きなだけ食ってくれ!」


「そんなにしなくてもいいが」


「どうせ売れない鶏皮も、誰かに食われれば鳥肌も収まるさ」


 夜に屋台なんて開くからだろ、なんて言えず。


「そうか」


 手早くジュウジュウ焼き始めた屋主はタレを降らせて匂いを振った。


「にゃー」


 爪研ぎをやめたルビーは鶏皮の焦げ目に目を奪われ。



「……良い匂いだな」


「エムに同意する」



 俺達も匂いに食欲を奪われていた。











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