にゃまいコイン
酷い手札だなって思いながらルビーと目を合わせる。
純粋な目に悲劇は見えない。
『そうだな……とりあえず』
キングが強いことを教えようとして考える。
ルビーになんて教えたらいいんだ?
言葉なんて分からないんだが。
『このカードは……にゃまいぞ』
「にゃー?」
伝われ! 俺の思い!
「にゃまいカードだぞ、これは」
「にゃまーい!」
にゃまいことを知ったルビーは、嬉しそうにカードを見てニコニコ。
他のカードがまずいことは黙っておこう。
「カードセット」
「にゃっと!」
そそくさとKを伏せたルビー。
オープンで勝利が決まった。
「にゃー」
勝利が嬉しいらしい。
「えらいぞ」
ポンポンと撫でて次。
残りは真面目にゴミカード。
選ぶ権利がないような2の連続だ。
それからポンポンとカードを提出して二連敗。
「こっから巻き返すぞ」
「にゃ!」
負けてる間にカゲからゲームについて聞いていた。
勝負の金額を釣り上げ、相手をその戦いから下ろせるということを。
「ルビー、祝杯あげようなー」
適当に猫耳を撫でてみる。
「にゃあ、にゃあ」
耳を触ると嫌そうに顔をフリフリ。
くすぐったいみたいだ、やめておこう。
「……カードセット」
男の声と共にセット。
オープンされる前に声を出す。
『ベット』
「いくら?」
「100枚、だ」
「ふむ、降りるよ、カードに賭ける息吹きは風だけで充分」
相手が応じなかった場合、今回の手札勝負はこちらの勝利となる。
伏せられたカード同時が横と縦に重なる。
最後の一枚を伏せ、ベット。
前回のベットは前回に限り有効。
「いくら?」
今回は宣言するまで最初の一枚のまま。
「これは自信があるから1000」
『いやあ、降りるよ、負けたら馬鹿らしい』
「それは残念だな」
思った以上にあっさりとルビーの勝利が決まった。
貰えたコインを一枚、ルビーに手渡す。
「良かったな、ルビー」
「にゃーん」
俺を見ながら鳴くと大切そうにコインをポケットに落とし込んだ。
「ところで、カードを見ても?」
「ああ、構わない」
男が縦のカードをペラリとめくる。
「2……!?」
最後の一枚をめくった男は心底驚いていた。
「もしこのベットを受けていたらどうした?」
「その時は仕方ないと諦める」
「君の考えはよく分からない、盗賊の時点で悟られるのもダメか」
席を立った男は手を振ってこの空間から出ていった。
『エム、盗賊のセンスがある』
「そうか?」
「大胆で見事、すぐにこの辺を牛耳れる」
「もしなるなら、物じゃなくて心を盗める盗賊がいいな」
「なら、エムは立派な盗賊だ」
まだ盗んでないぞって言うと。
「そういう意味ではない……」
残念そうな声で返された。




