お料理教室
ルビーと遊んでいる間にカゲは起きてきた。
『な、なにを……?』
「ルビーと遊んでるんだ」
人差し指を動かすと嬉しそうにするからな!
「それより、体調はどうだ?」
「カゲなら大丈夫」
「それは良いことだな」
元気になってくれて嬉しいな。
「心配をかけた、すまない」
立った俺はカゲに手を伸ばし、引き寄せた。
「じゃあ、行くぞ」
「エムの為に最善を尽くそう」
宿屋を出た俺達は早速ある場所に向かった。
少し大きな建物、クエストワークより大きい。
「エム、ここは……?」
「お料理教室だ」
「えっ?」
「お料理、教室だ」
お料理教室とはお料理を学ぶ所で、俺も別の場所で何度かお世話になっていた。
料理はスキル、戦いには生きない。
「エムは料理が好きなのか?」
「料理ができる人間は需要がある」
「ふむふむ……」
カゲは納得したように頷いていた。
中に入ってガラガラな周囲を見る。
『なんの用?』
そこには包丁を研いでいた美女が一人。
「肉のスジを除ける方法を教えてくれ!」
「……簡単ではないけれど」
「分かってる!」
「試しにあなたの料理経験を聞かせて」
前のギルドで料理係をしていたことを話してみた。
「野菜とスジがない高級肉は普通に扱ってきた、捌きは自信ある」
「準備するわ、待ってて」
美女がせっせと動き始める。
「エムは、料理ができる男……」
カゲがじっと見てくる。
「そうだぞ」
「これは、シンス様への報告に値する」
しばらくして舞台が準備された。
「来て、試しにこれ捌いてもらうから」
包丁と丸い緑の野菜が置かれた台に近づく。
前を見るとカゲが椅子に座って見ていた。
「どうやって捌けばいい?」
「なんでも」
普通にみじん切りしてみた。
トンと半分に切って、断面を下にする。
そこから更にトントントン。
半分に差し掛かった辺りで。
「にゃー」
隣に居たルビーが訴えるように耳元で囁いた。
「にゃあ、にゃあ……」
食べたそうに俺を見る。
「仕方ないな」
まだ切ってない方向からあえて大きく切り、それをルビーに渡す。
「あの人には秘密だぞ」
こっそり渡すとルビーは両手で口元に運んだ。
シャキシャキと心地よい音が響く。
「馬鹿野郎、そんなに美味しい音を立てたら……俺まで食いたくなるだろ」
俺も切り立てほやほやを仲良く摘むことにした。
「美味いな!」
「にゃまい!」
『隣で見てるんですけど』




