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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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命が消える音









 街に戻って木をクエストワークに持っていくと。


 ワイルドに両手で運んでいたからか、受付の人に変な目で見られた。


『報酬です……』



 渡された報酬を受け取って次の依頼に目を細めた。


「え? 帰らない?」


「当たり前だろ」


 5000ヘルじゃ足りない、もう少し欲しいな。


「これだな」


「それって」


「そうだ、危険な依頼だが仕方ない」


 俺は受付の人にすっと見せた。


「行ってくる」


『ただの薬草採取に大げさです』


 行くぞとソランの手を引いてクエストワークに出る。


「い、いや! もう行きたくない!」


「文句を言うな」


「寒いし! 報酬が安いのも気に食わないわ」


「そうか?」


「もう、嫌よ」



 ほんのちょっとでも、俺みたいに内心では楽しんでくれてると思ったんだが。


 本当に楽しんでないみたいだ。



「そうか……」


 目は嫌だという意思を口ほどに言っている。


「これ服! また後で!」


 投げ返された服を受け取った時にはもうソランは背を向けて歩いていた。


「そうか」


 久々に嬉しくないと思った。


 それからいつものように夜の草原を歩き、近くの森で薬草を採取した。



 不自然な音に振り返ると見覚えのある獣。



『グッ』


 ウルフ……じゃないな、ロッドファング。


 黒い毛は夜では目立たない、人間すら食らう夜の狩人。


 一体だけなのが幸いだ! 倒して金にしよう!


『グアア』


 駆けてくる間に剣を抜く。


 喉元を喰らおうと大口開けて飛び込むロッドファングを剣で迎え撃つ。



 弾き返して転がる黒い毛皮。



 この瞬間に俺はロッドファングの顔を抑え、首を剣で素早く貫いた。



『……』


 静かに命が消える感覚というのは慣れない。


 消えた瞬間のリアクションで確信できる事実を、目を見て判断しなければいけない。


 俺は、死に様をまじまじと見るのは嫌いだな。


「ごめんよ」



 静かに皮を剥いで手持ちに加える。


 ファングの肉はスジが酷いが、近くの草に包んで持っていこう。



 それから薬草を採取し続けた俺は陽が昇るのと同時に戻り、クエストワークで報告。


「残りの分はお返しします」


「良いのか」


「はい、過剰分は必要ないようです」


 とりあえず宿屋に戻るとソランは居なかった。



『にゃー!』



 ルビーは早起きさんらしい。


「偉いな!」


「にゃ」


 当たり前だと頷く姿は偉そうだ。


「カゲは……寝てるのか」


「にゃあ」


 グルグルとお腹を鳴らすルビー。


「これ食え」


 薬草を近づけると匂いを嗅いで首を横に振られる。


「にゃ! にゃ!」



「欲張りだな」


 ルビーを人差し指で操りながらカゲが起きるまで待つ。


「にゃあ!」


 俺の手を掴んだルビーは揺れる人差し指を綺麗な瞳で見ている。


「んにゃー」


 すっすっと指を左右に動かすだけで興味津々だ。



「にゃ!」


 パクリとルビーの口の中に指が隠れてしまう。



「ははっ」


 本能の赴くままに生きている、ルビー。


「う〜」


「許してくれ、頼む」



 ちょっとだけ、羨ましいと感じてしまった。











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