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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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誇らしげな胸






 とりあえず、洞窟の近くでカゲの帰りを待とう。


 立って歩いて振り返る。


 ついてくる猫耳族の姿が。


『なんで来ている?』


「にゃー?」


 相手も不思議そうに猫耳を傾けて見てくる。


 試しにその場で座ると。



 猫耳族もペタンと正座した。



 よく分からないが、懐かれているのは確定的に明らかだ。


 男の猫耳族だったら話が通じたんだろうか。


「にゃー」


 こいつが倒してくれた男のアイテムを剥いでおくか。


 殺される覚悟がある奴だけ、殺していいんだからな。


 歩き始めて振り返ると猫耳族がピタリと止まる。


 こんな遊び、あったよな。


「……」


「隣に来い」


 猫耳族の手を繋いで連れていった。


 一応、聞いてみよう。


「俺の服と、こいつの服、どっちが良い?」


 言葉が分からないかもしれない猫耳族の為に、人差し指を交えて説明する。



「にゃー!」


 選ばれたのは俺でした。



「即答だな」


 裸の猫耳族に服を与えないと連れていけないからな。


「ほら」


 その場で俺の服を脱いで渡すと。


「にゃにゃー?」


 着る方法を知らなかった。


「これはこれで、こうでだな……」


 子供に服を着せるように履かせていく。



 裂けた衣類で剥き出しになってしまったそこそこのサイズ。


 そこは胸の鎧でなんとか隠すことができた。


 剣で切られた部分の肌は丸見えだが、赤い部分が見える事はない。



「にゃー!」


 満足してくれたのか、胸を張って自慢してくる。


 自分で着てくれたら、素直に褒めたんだが。


「そうか」


 全裸の俺は男の服を剥いで着込んだ。


 全体的に赤くてゆったりとした服。


 身動きに影響は出ない程度に軽い。


 剣も拝借しようとおもったが、壊されていてダメだった。


「にゃー」


 洞窟の近くに戻ってカゲの帰りを待つ。


「にゃ!」


 いつ帰ってくるんだろうか。


「にゃー!」


「なんだよ」


 身振り手振りのジェスチャーから予想してみる。


 お腹を両手で抱えてから、顔を隠すとにゃあにゃあ鳴き始める。


 どうやら、腹が減っているらしい。



「そう言われても、ここから離れることはできないんだ」


 もう少し待ってくれとお願いする。


「にゃーあ」


 めちゃくちゃ不満そうに鳴くと俺の太ももに頭を置いて寝転がった。


「……すまない」


 手持ちに何もないのが悪かった。


 俺は食わなくても生きていけるからだ。


「にゃー」



 左の猫耳だけ、人差し指のように揺れる。


 謝ってもダメだという意思が汲み取れた。



 不意にポンッと肩に手が置かれ、俺の体が消えていく。



『エム、帰ろう』


 カゲの声。


「ニャ!?」


 猫耳族がなにかに気付き、体を起こして周囲を見始めた。


『にゃあ、にゃあ……』


 目をキラキラさせて誰かを探している。


「カゲ、戻してくれ」


 見えるようになったのか、すぐに猫耳族が気づいた。


「にゃー」


 何事もなかったように俺の足でゴロゴロし始めた。


 猫耳がパタパタと動く。


『どういうことだ、エム』


「実はだな」


 カゲが居ない間に起きたことを説明した。




「……猫耳族はエムが思う以上に文化を持っている」


「そうなのか」


「手を舐め、舐められた本人がその手に残った体液を舌に収める、人間で言う師弟関係だ」


 カゲは物知りだな。


「猫耳族が人間に従うとは……」


「失礼な、従わせてるんじゃないぞ、友達だ」


「ならば、名前を伺おう」


 食い気味のカゲが顔を近づけてくる。


「ま、まだないぞ!」


「それは友達ではない」


 バッサリと話が切られ、背を向けたカゲは歩き始めた。


「待ってくれ」


「全てを終えたカゲは帰りたい」


 猫耳族の頬をつねって起こす。


「にゃあ……」


「起きろ、歩くぞ」




 目を擦る猫耳族の手を引っ張ってカゲの後ろまで追いついた。


「名前は?」


「にゃ、まえ?」


 頷いて肯定すると、よく分からないという顔をされた。


「猫耳族に名前という文化はない」


 カゲの言葉にうーんと唸る。


 街で猫耳族って呼ぶわけにもいかない、名前を決めておかないと。


「決める必要はない、エム」


「なんでだ」


「カゲでは不満か?」


「どういう意味だ」


「カゲがいれば、そのような猫は」


「そのようなってなんだよ」


 背中を向けたままのカゲに手を伸ばす。


「こいつが居なかったら、俺は死んでいた」


「……」


「運命を変えてくれたのに、そんな事言うなよ」



 肩を掴むと振り返ったカゲが俺を見た。



「エムが常に対等なのは知っている」


「そうだ」


「ならば、カゲにもするべきことがあるだろう?」


 逸れない目が何かを訴える。


「言えよ、してやるから」


「猫のように、エムの足に頭を置いてみたい」


「……後でな」


「エム、約束だ」


 よく分からないが、したら満足してくれるようだ。


「分かった、指切りの約束をしよう」



 カゲは素早く小指を立てて絡めてきた。


『猫、エムを救ってくれてありがとう』



「にゃー」


 約束を交わした俺達は街に向かって更に歩き始めた。











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