表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
187/200

仮初








『ぬ、抜けがけられる方が悪い』


 カゲは悪意を否定しながらも、無理矢理とびこんできた。


 丸見えの悪意。


「する方が悪いぞ」


「そんなことはどうでもいい、終わったこと」


 乱れた髪がフリフリ飛沫を散らす。


「整えろ、エム……」


 カゲは顔を見て話をしてくれない。



「分かったわかった」


 手ぐしで仕方なく整えてあげる。



 途中でルビーが戻ってきた。


「にゃ!」


 特に怒っているわけでもなさそうだ。


「あとは、自分でできる……」


 カゲはあっさり俺から離れると髪に手を加える。


「さっきまでできなかったくせに、変なやつだな」


「う、うるさい! いまはできる!」


 ルビーの方がしっかりしてそうに見えてくる。


 背筋と猫耳がピンと伸びていて、たくましい。


「にゃーあ」


 カゲにそれだけ言ってそっぽを向いた。


「皮肉でも言ったんだろうな」


「カゲになんと言った?」


「借りて来た猫みたいってな」


「ね、猫はお前だっ」


 人差し指でルビーに怒るカゲを撫でてみる。



「……むう」


 腕と文句が静かに下りていく。


「おお、借りて来た猫はこんな感じだったな」


 猫ということが分かった。


「ね、猫ではない」


 撫でている手と髪の間。カゲは両手を差し込んで身構える。


「まあ、そうだな」



 二人を連れて歩いてみた。


 よくよく考えると遊ぶ為に歩いたことはあまりない。


「何も思い浮かばないな」


「カゲは思っている!」


「なにを?」


「いろいろ……」


 俺を見て色々あると言う。


「ほう」


「エムのことだけでは断じてない、例えば……」


「例えば?」


「……たとえば、たとえば」


 その様子では何も考えてなさそうだった。


「ないならルビーと遊ぶが」


「あ、ある! 腕の代わりを務めたいとか」


「俺のことじゃないか」


「むむっ」


 俺は指でルビーを釣ることにした!


「にゃっ」


 手首を掴まれて引き寄せられる。


 ルビーの力はやはり強く、引き返せれない。


「くっ」


 手が震えるほど左手は寄せても帰ってこない。


「にゃー」


 指を振る。瞳が近づきながら左右に揺れる。


「にゃあ」


 ルビーは指をゆっくり咥えた。


「視線が気になるな」


 指をあげているので周りの人に注目されながら歩いている。


 本人は満足したのか指を抜いて返してきた。


「にゃあー」


 濡れた指を最初みたいに咥える。


「にゃーん」


 ちょっとだけルビーの唇が広がる。



「カゲの指も、食べるか……?」

 

「食べるわけない」


「では自分で食べる」


 そう言ってパクリ。


「なんだそりゃ」


「……」


「なんだ、じっと見て」


「ふんっ」


 カゲは拗ねてしまった。



「あれもこれも、ルビーのせいだ」


「にゃ?」


「なぜ何もしていないのに関心を引く」


 心傷(しんしょう)気味なカゲ。


「まあまあ、落ち着けよ」


「落ち着けるか! 落ち着いて欲しいなら、カゲしか見るな」


 俺の視界占領を企むカゲは背を伸ばして肩を掴んできた。


「なにか言え……」


「あいうえお」


「なんだそれは!」


「冗談だ」


「カゲとの関係は冗談なのか! そうなのか!」


 目尻の涙がブレる。カゲがグワングワン肩を揺すって怒ってる。


『おお、ここに居たか』


「だ、誰だ? またエムのお友達とやら……」


「共演をお忘れか?」


「きょ、共演?」


 察した俺はカゲの両目を指の束で隠して振り返る。


「わ、み、みえぬ、カゲが話しているのに、わりこむな」



 例の商人が背広な服を着込んで立っていた。


『猫耳騎士団と猫耳王女の物語を!』


「懐かしいな!」


 商人が頷く。


「離せ、エム」


「ああ」



 俺はカゲを離して商人に話を委ねた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ