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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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予知夢








 宿に戻ってゆっくり部屋に入る。


 キィッとドアが鳴いた。ガサリとベッドも擦れる。



『……遅い』


 カゲは体をムクリと起こして細い目で見ていた。



「起きてたのか」


「うむ、エムと寝たい」


 執拗にクリクリ目を擦るカゲは眠そうだ。


「椅子で見ておく、一人ベッドを楽しめ」


「え、エムはここ」


 トントンと手で叩かれた場所はカゲがさっきまで転がっていた真ん中。


「カゲはどこに寝るんだ?」


「えむ……」


 視線に押されてカゲが譲ってくれたベッドに寝転がる。


「俺は寝なくても大丈夫なんだぞ」


「そんなことは知っている」


 カゲは俺の上にポスンとうつ伏せになった。


「まさか、このまま寝る?」


「エムの上で寝てみたかった」


「このままはダメだ」


「は、離れるつもりは毛頭ない」


 ギュッと服にカゲの手がしがみつく。



「離れなくてもいいが、うつ伏せは歯並びが悪くなる」


「関係ない、そんなこと」


「ダメだぞ、こんなに綺麗な歯をしてるのに」


 カゲの頬を持ち上げて、唇に隠れた歯並びを見る。


「エムは歯が好きなのか……」


「好きだな」


「むう」


 カゲはゴロンと俺の上で寝返りを打って仰向けになった。


「これで文句あるまい」


「ないぞ」


「朝一番にカゲを起こして欲しい」


「分かった」


「大切な用事がある」


 カゲが俺を使おうとするなんて珍しいと思ったが、今の時点でそうでもなかった。


 静かになった。


 カゲはもう寝たらしい。


 人差し指でカゲの口元に触れてみるとガブリと指が食われた。


「うおっ」


 寝ていると思っていたので驚いた。


『……寝れない』


 カゲがぽつりと呟く。



「大変だな」


「眠気が通り越してしまった」


 深刻そうな口振り。


「手伝えることでもあればいいんだが」


「もう寝なくていい!」


 ガバッと勢いよく起き上がったカゲは俺の方を向き直して座り直す。


 俺はまだ起きてはいけないのか、馬乗り状態だった。


「エムとお話する」


 唇を尖らせている時のカゲはなかなか言うことを聞いてくれないこだわりモードということを知っている。


「それでもいい」


「エムのいいところをいっぱい言いたい!」


「せめて退屈な話をした方が」


「ドキドキすれば寝れなくなる……はず」


 そう言って始まった話はモゴモゴしていて、聞き取りにくかった。


「……とか……も……」


「もっとハキハキ喋って欲しいな」


「二回も言いたくないっ」


 赤い頬を何度も振って恥ずかしそうにするカゲ。


 聞こえていたら、俺もなにか思えていたのかもしれない。


 そんなカゲも眠気に押されてウトウトする時があった。


「寝てるぞ」


「……はっ」


 寝かせてあげた方が良かったな。



「やっぱりエムのことは嫌いだ」


「悪かったな、起こして」


「さっき夢を見た、エムが他の女とイチャついていて……」


 むうっと不満そうに見下ろしてくる。


「ただの夢じゃないか」


「エムはカゲの物、だ」


 俺の左手を持ち上げて抱きしめると倒れ込むように顔を近づけてきた。


「じゃあカゲは?」


「カゲは……カゲは影の者、変なところを触ったら許さない」


 ちょっと理不尽。



「そ、そうか」


「もし触ったら………」


 開いていた目がゆっくり閉じられる。


「…………」


 糸が切れた人形みたいに倒れ込んできた。



 この体制で寝てしまったらしい。


 腰痛にならないか、それだけが心配。



 





 

 

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