馬鹿と勉強
ギルドの中は賑わっていた。夜なのにそこだけ昼。
真っ先に来てくれたのはミトラ。
ドアの前を見張ってるんじゃないか、それくらい早かった。
『ど、どうも……』
「迎えてくれて助かる、気分が良くなる」
「ただの偶然で」
本当に偶然だとミトラは手を横に振ってまで否定する。
「そうなのか?」
「や、やっぱり偶然じゃないです。実は手を繋いで欲しくて」
差し出された手をギュッと握る。
「何か対策をしたのか」
『……わがままですよね』
ミトラは手を引くと前みたいに慌てて去っていく。
その時に誰かと肩をぶつけていた。
『み、ミトラ!?』
シンスだった。
ただでさえ追放候補。このままでは本当に追放されかねない。
俺はシンスを引き止めることにした。
「邪魔がすぎるんじゃない?」
「そ、そんなつもりは」
「最近、何をしたか、みっちりと」
まあまあと言いながら間に入ってみる俺。
「男は黙ってて」
シンスはお怒りの様子。
言い責められるミトラが可哀想だ、何か良い手があれば!
「ごめんなさい……」
「ごめんで済むなら剣もいらないってわけ、分かるでしょう?」
「済まないのは分かってるから、すまないなんて……」
「はっ?」
意外にミトラは強気だった。
「ははは、ミトラは面白いなあ」
もう一度だけ間に割り込んでみる。
「どこが!!」
「済まないとか」
「お、覚えてなさい」
俺に人差し指を向けるとシンスはキリキリと後ずさっていく。
「助けてくれてありがとうございます」
ぺこりと頭を下げるとミトラも部屋に消える。
ギルドを歩き回っているとミストに捕まった。
『リュウキくんゲット!』
カエルは居ないらしかった。
「勉強してたんじゃないのか?」
「してたよ、むふふふ」
不敵に笑うミストに一歩下がる。
「リュウキくんのおてては30グラム! 天秤で釣り合うかも!」
商売力学を話しながら手を繋いできた。
「釣り合いそうか?」
「多分釣り合わなーい、なんでだと思う?」
「分からないな」
「ここに天秤はありませーん!」
馬鹿らしい話だなって思う。
「そ、そうか」
「お勉強頑張ったんだよ!」
「えらいな」
「そう思うなら30グラムちょうだい、頭に欲しいなあ」
ポンと手を置いてみるとミストは何も言わなくなった。
「…………」
「何か言え」
「満足!」
「じゃあまた明日」
「またねー」
手を振ってくれるミストと別れてギルドを出た。




