ひっつき虫
暇な夜はリドルと話すことで解決している。
『やっぱり幽霊サイコー!』
「なんで幽霊が最高になるんだ? 幸福に思う幽霊は嘘話でも聞いたことがない」
「幽霊はなんでもできるからだよ! いやあ、お外に出れるようになると最高だったなんてー」
リドルの幽霊自慢は朝まで続く。
「地味に調査もできる!」
「それでミトラのことはさらに分かったのか」
「全然」
そう言って親指が立てられる。
「ポジティブで恐ろしいな」
「幽霊も元気に言ーえる〜なんて」
「変な物でも食ったか?」
「幽霊が食えるわけないでしょ!」
それもう未練ないだろって思った。
「それもそうだな」
絶対、言わないけど。
「早く朝にならないかなー」
そんなことを言うリドルも本当に朝になると。
『もう朝かー』
って言う。
「早いな」
「ねー」
まずはカゲを起こさないとな!
「起きろ」
いつも通り揺さぶって起きてもらう。
「んん……」
「起きたか?」
「おきたおきた」
目を擦りながらフラフラ俺から離れていく。
「眠そうだな」
心底眠いのか、目をコシコシして棒立ち。
「眠い、当たり前だ……」
「タンザを起こしてからな」
揺すってみるとカゲよりもぱちぱち目覚めていた。
「おはようございます!」
「ああ、おはよう」
「快眠でした」
ニコリと微笑むタンザ。
この差をカゲに教えてやりたい。
「頑張ってくれ」
「少し休んだら行きます」
カゲが眠そうにもたれかかって邪魔をしてくる。
「エムのために、乳首当てゲームをさせてあげよう」
「なんだそれは?」
「乳首を当てるゲームだ」
寝ぼけているのは簡単に分かった。
「左手の人差し指で当ててみろ」
胸を張って一度きりのチャンスを与えてくる。
「容赦はしないからな」
「かまわぬ」
人差し指でツン。ムニっとする感触。
「ぶっぶー、正解はここだ」
カゲが俺の手首を両手で掴むと少し上と右に誘導する。
「こ、こ」
ツンツンと操られて触れた部分。
ち、違いが分からねえ……。
「そ、そうだったのか!」
なんて言えるわけもなく。
「うむ」
タンザはルビーを起こしてスタスタ部屋を後にしようとする。
ドアを開けて、タンザが『これは?』と声を漏らす。
「どうしたんだ?」
「紙が落ちてるんです」
「捨てたらいい」
「何か書かれてますよ」
そんな冗談を……と思って持ってきてくれた紙を見る。
ダダン盗賊団が貴様の高貴で麗しい圧倒的美貌を放つ魔女族のマスターソランを誘拐してやった! 返して欲しくばギルド総出で大金を用意するんだな!
めちゃくちゃ嘘っぽいんだけど。
「いや、そんなレベルじゃないな、心配だな」
「わ、行くなっ」
カゲがひっつき虫で俺の行動を邪魔してきた。




