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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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幸運







『今のは俺が完全に悪かった、許してくれ』


「許さない」


 方向音痴という言葉は禁句らしい。


 ついさっきグーで殴られて確信。


「かわいい要素だと思うが」


「もう黙って」



 青いドラゴンを最後に見たと言われる草原に着いた。


 俺達は歩き回って探すことにした。


「人が多いな」


 一億という金が掲げられただけあって、同業者が拠点を組んでいる。


「当たり前でしょ」


「それもそうか」


 途中で一本の草をちぎる。


「なにしてんの?」


「四つ葉のクローバーだ」


 渡そうと近づけると。


「子供じゃないんだから」


 叩き落とされてしまった。


「幸運の象徴になんてことを」


「そんなに大事?」


「冗談だ、幸運なんて自分で掴めるからな」


 歩いていると不意に地面が揺れる。


 遅れて遠くから走ってくる人達。



『青いドラゴンが現れたぞー!』


「なんだと!」


「いくしかねえ!」


 クレアと目が合う。


 やはり、考えは合致しているらしい。



「近くで見守りましょ!」


「倒しに行くか!」


 全然、合致してなかった。


「バカなの? 戦わなくてもそのうちなんとかなるのに」


「戦いたくないのか」


「あんたが変なだけ」


 言いくるめられた結果、木陰でこっそり見守ることになった。



 ドラゴンが声で威圧する。


 周りの戦士が武器を手に突進していく。


 鱗に覆われた右手で払われる、それだけで致命傷の嵐。


「ぎゃああ」


「ぐわー!」


 後続の魔法使いが放った魔法は大したダメージになってなさそうだ。


『ガア!』


「くっ……」


 ドラゴンが喉に光を貯め、魔法使いに火球を注ぐ。


「あ、熱い!」


 残った戦士は地面を叩く左手の衝撃波で吹き飛んでいく。



「……強すぎない?」


 クレアが不意に呟いた。


「それがドラゴン」


「に、逃げた方が」


 俺も逃げたいんだけどな。


『ガアアア!!』


 ドラゴンが俺達に気づいている。


「二手に分かれよう、俺はドラゴンを叩く」


「わ、私は?」


「決まってるだろ」


 俺はドラゴンの前に出ながら剣を抜いた。


『逃げろ』


 振られたドラゴンの爪を弾く。



「ダメだって!」


「報酬の件が心配なのか?」


「違う! あんたが死ぬから!」


 防ぐことが精一杯だが、体が震えて気持ちが良い。


 クルリと背を向けたドラゴン。


 遅れて振られた尻尾を数歩下がりながら防いだ。


「ほら、死んでない」


「……じゃあ私も戦う!」


「そうか」


 叩きつけられる尻尾もなんとか抑える。


「魔法、使うから」



 俺が耐えてる間にクレアが魔法で攻撃。


 注がれた氷の矢は弾かれ、大した効果はなかった。



「強すぎ……」


「そうだな」


 俺はドラゴンを舐めていたのかもしれない。


 今までの運が、良かっただけか。



 ドラゴンが歩み寄りながら爪を振り上げる。


 ギンッと防いだ結果、俺の体が遠くに飛ばされる。


「リュウキ!」


 転がりながら減速して、立ち上がる。


 まずい、前に立たないとクレアが。


 そう思っていたら俺の横をクレアが吹き飛んでいく。


「……ッ!」


 草に転がされて止まったクレアは立とうとしない。


 気を失っているか、死んでいるか。


 俺は前を見た。



 ドラゴンが駆けてくる。



 ここで止めないと、二人仲良く死ぬ。


「止まってくれっ!」


 剣先を向け、全力で剣を投げた。



 フッと伸びていった剣は。



 ドラゴンの右目を貫いた。



『ガアッ!』


 剣に誘われるように、巨体がドシャアと右に吹き飛んでいく。




 この間に逃げるしかない!


 急いでクレアに近づき、両手で拾い上げると。


 街の方向へ一気に走った。


『ガア! グガアア!』


 ドラゴンの叫びが聞こえる。



 全力で走った俺は、なんとか街に逃げることができた。


 はあはあと息を吐きながら、両手に収まるクレアを見る。


「……すまない」




 ギルドに戻るとシンスが俺を見た。


「どうしたの?」


 周りの美女から囁き声が聞こえる。


「ドラゴンに、負けました」


「……」


「クレアの怪我を治せませんか」


 呼吸はしているようだが、腕の周りが血に濡れている。



『……なに? そこまで私が鬼に見えたかしら?』



 シンスが周りを見ると、美女が「いえいえ」と言葉を返す。


「ミスト、クレアを受け取って」


 コップを粉砕した人はミストと言うらしい。



『はーい』


 長い黒髪を揺らして近づくと、手を広げてきた。


「ちょーだい?」



「ああ……」


 優しくクレアをパスするとミストは静かに別の部屋に消えていった。


「では、失礼します」


「待ちなさい」



 シンスに呼び止められて振り返る。



『鞘に剣がないのは、どうして?』









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