むりむりかたつむり
リドルに助けを求める。
『どーんまい』
ポンッと肩に手が置かれた気がした。
「コノハさんをビリビリさせて……」
そんなことしたらやばいぞってミトラに教える。
「な、なんでも、する! お手伝いします!」
「これは俺の問題だ」
「迷惑かけるつもりは……」
ミトラは後ずさりながら見てくる。
近くのテーブルに隠れると顔だけ出してそのままじっとり。
「か、変わった子だね?」
リドルから見ても、不思議な人に見えるらしい。
「そうだな」
打開策を練っているとパチン、乾いた音が鳴る。
『ちょっと聞いて、今日は言っておかなければいけないことがあります』
シンス。
「まず追放処分にしたミスト、やっぱり取り消し」
「ふぇーい!」
本人は嬉しそうにバンザイ。
『では、用意していた加入試験は?』
美女が横槍を挟む。
「今から行うってことを言いたかったんだけど」
「はっ、失礼しました」
「試験を見届けないといけないから、続きはクレアに頼もうかしら」
「………………」
沈黙の空間。
『あの、予想ですが寝坊していると思います』
「じゃああなたがやってちょうだい」
「む、無理無理かたつむりです!」
「起こしにいかなかったあなたが悪い」
シンスが俺にだけ分かるようにクイッと手を仰ぐ。
タンザとルビーを連れて追いかけた。
ギルドを出てしばらく歩く。
着いた場所は前に男達と腕相撲をした場所。
そこの道具は撤去され、沢山の美女が手にした武器を撫でていた。
「多いな」
「そう? むしろもっと入りたがると思ってたのに」
シンスはギルドに自信を持っているらしい。
「今から試験を行う! 正しく並べ!」
美女の中に居たのか、コノハの声が響く。
足音は見事に整列していた。
「家系だけは確か、か」
コノハは正しく並ぶ美女を見て鼻で笑う。
「一人ずつ前に出ろ、武器が壊れた者は立ち去れ」
「わ、私から!」
出てきた美女の武器がサクラ剣術で木っ端微塵にされていく。
バキンバキンと散る刃物、投げ捨てられていく鞘。
『……ちっ!』
負け惜しみの化粧に滲み出た貴族の本性。
「あんなやつほど向いてないわけ」
シンスが失礼にも指を差して笑う。
結局、全ての武器が破壊された。
それでも合格扱いの人間が数人。
「本当の条件ってあるのか?」
「さあ……? コノハの塩梅で決まるから」
コノハを信じてタンザに声をかける。
『行け、力を示すチャンスだぞ』
「えっ?」
「ホウセンカに入れるかもしれないぞ」
ポンッと背中を押して祈る。
「き、聞いてないですよ!」
「タンザとやら、サクラ剣術を防げるか」
「本当にするんですか!」
クルンと刃を回したコノハ。
チャキン。鞘に戻れば一度この度と抜かれる。
『悪いが、手加減をするつもりはない』
桜色のオーラが花見を誘った。




