謝罪大作戦
宿を出てカゲ達の帰りを待つ。
この間に作戦を組むことにした。
題してミスト帰ってこい大作戦。
『このままでも……』
「俺は追い出すつもりだぞ」
「やだやだ! どこまでもひっつき虫する!」
じーっと前のめりな視線で拒否を語られる。
「帰れるものなら帰った方がいい、そうだろ」
ギルドとして仕事ができるだけで街の中での地位は変わる。
「リュウキはミストをお払い箱にしたいんだ〜えーん」
「そうなる」
「えっ!」
残念そうに目の輝きを落とすミスト。
「じょ、冗談だ、無職の彼女なんて嫌だろ?」
「……うん! やっぱり頑張るー!」
飛び込んできたミストを今回は受け止めることにした。
『また浮気を!!』
タイミングわるっ! カゲ達が帰ってきた!
「ミストは男だぞ」
「むうう、そんな言い訳通るはずがあるまい!」
「仕方ない」
「エムから離れろぉ……!」
そんなこんなあり、ギルドに足を運んだ。
中は普段通りに戻っていて、知らない人が見れば壊れていたことを知ることはなさそうだ。
「ミスト、作戦は分かってるな」
俺から離れるとこくこく頷く。真剣なのかキリッとしていた。
「タンザ、少し待っててくれるか」
「待てます」
ミストと多分ついてきているカゲを連れてシンスに歩み寄る。
『あらあら、追放した人間じゃない』
相当な被害を出したのか、散々な言われよう。
「ごめんなさい……」
ぺこりと頭を下げるミスト。
「どれくらいの被害か分かってるわけ? 建物の先の地面がこなっごなだったのだけれど」
運良く射程内に家がなかったらしく、道の破壊だけで済んだらしい。
「お、お酒は飲まないようにしてたよ……飲んでないよ」
「ベラベラだったのは知ってるわ!」
俺はまあまあと偶然を装って間に入る。
「なに?」
「ミストに酒を飲ませたかもしれない人間がいる、本当に禁酒をしていた」
「そんなわけないでしょう!?」
なかなか硬い守りを通すシンス。
『もうお酒飲みません! 許してください!』
「具体的な対策とかあるわけ? ついでに補填も」
「えっと、対策は、ミストお口チャーック!」
青柄のハンカチを取り出すと細長く巻いて咥え、後ろでキュッと閉めた。
「……これで飲めないって?」
「ふぁい!」
「あはらし」
これでは許してくれなさそうだ。
「俺がミストの代わりに借金をする、今回は許して欲しい」
「ならまあ……本当に今回だけよ」
ミストはわーいと跳ね、どこかにタッタッと行ってしまった。
あれ? お礼は?
「やっぱり追放にした方が……んんっ!?」
シンスが俺と手を交互に見る。
「な、な、なんでそれを付けてるの?」
攻撃対象は俺に移った。




