即落ち
ちょうどドラゴンの全てを頂いた頃にミストが帰ってきた。
『みすとあたーっく!』
飛び込んできたミストを寸前で交わす!
『ぐへえっ』
草の上とはいえ、腹から着地して痛そうだ。
「なにしてたんだ?」
「きゅーけい!」
「そうか?」
「ミスト、嘘つかない!」
「そうか」
嘘をついてはいない。
スカートのお尻の部分は寝返りをうっていないのに枯れ草が付いている。
「帰るぞ」
「起こしてー」
伸びた手を握って引っ張るとすんなり立ってきた。
最悪、罠のように引き込まれて地獄を見ると思ってたんだが。
「素直だな」
「あたりまえ」
素材を纏めて帰っているとなんとなく、距離感に気づく。
少しだけ行く時より空いているというか。
詰めてみると。
「だめー」そう言ってまた離れられる。
「どうしたんだ?」
「香水もなくしちゃったから……」
不満そうに頬をプクリと膨らませていた。
「へえ、高かっただろ」
「そのとーり! 良い匂いなんだよー」
「だから変な効果もあるわけだな」
「メロメロ効果はある、かも」
香水は返しておこう、俺が持っていても仕方ない。
「ま、まさかー?」
「寝てる時に、全てを拝借させてもらった」
「アレも取ったの!?」
「アレ?」
ミストがカッと目を見開いて密着してくる。
「しゃ、写真! リュウキの、写真!」
「それは知らないぞ? ……写真?」
おいと、ちょっと待ってくれと引き止める。
「あっ」
俺の反応に口を塞いでなかったことにしてくる。
「写真なんて、撮ったことないんだが?」
写真の存在は知っているが、高価だったり興味がなかった。
「今のは、なかったことにー」
「できるわけないぞ、見せるんだ」
「や、やだ!」
「どこに隠してやがる」
ミストを引き寄せ、服の上から写真の存在をさぐってみる。
「そんなに触らないでぇ」
「そんなに触ってないからな」
そもそも、片手で抱き寄せて探れる範囲に限界がある。
「……諦めるか」
離れるとミストはスカートに香水をピッピとかけ始めた。
「普通は首筋とかじゃないのか?」
腰周りでもなく、スカートの前側に何度も振っている。
「自力でメロメロにしたいから……」
「それにしたってもういいだろ? 勿体ないぞ?」
ようやく香水をやめてくれたミスト、匂いは届いてこないがもし飛び込めば意識が持っていかれる可能性が高い。
なんというか、禍々しいオーラがスカートに宿っている。
「早く、かえろー」
打って変わってピタリと肩を寄せてくる。
「それぐらいで堕ちるわけない」
「チュー」
応えるとミストがコロッと落ちた。
「ひゃっ」
落とし穴に、コロッと。
「大丈夫か!」
ミストだけ落ちてしまったが、俺が手を伸ばせば簡単に救い出せそうだ。
しかし、行く時にはなかった罠。
『ようこそ、餌』
振り返った時には男に蹴り飛ばされていた。




