デートプラン
ギルドの外を不思議と懐かしいと思ってしまった。
きっとタンスの匂いにおかしくなってしまったんだろう。
『……あれ!? ないないない!』
ミストが慌てた様子でぴょんぴょん跳ね始めた。
「どうした? トビウオみたいだな」
「んっ! その言い方はミストも怒る! プンプンだよ!」
「それで、大切な物なのか?」
「うん……探してくる」
「一緒について行こう」
本当は俺が握っているかもしれないなんて言えなかった。
ギルド内でくまなく探し回るミストを滑稽に捉えてしまう。
「ない、ない、なーい」
「……何を探している?」
「い、言えない、それは」
グスンと残念そうに瞳をキラつかせるほどの機密情報。
「そうか、頑張れよ」
俺は内容を吐いてくれるまで泳がせることにした。
もしかしたら何かを幽閉していて、俺を今後締め付けるための罠計画かもしれないからな!
「そんなこと、小汚いメモに残さないと思うけど」
リドル、時には慎重に構えることが大事だぞ。
「……うぅっ」
ミストの手の動きが完全に止まる。
「そろそろ、諦めたらどうだ?」
「ふふふ、そーする……」
朝になってギルドが賑わいを取り戻してしまい、探すにも探しにくい状況。
明るく言ったミストだが、相当大切だったらしい。
「内容が聞きたいな」
「で、でーとぷらん…………」
「でーと?」
ミストは人目もはばからずに涙を落とす。
「初めての計画、だったのに」
「やはりそういうことだったかっ!」
「デートが、デートがあ……」
「え?」
俺は、勘違いしていたのかもしれない。
「えーん」
ミストは本当に泣いてしまった。
とりあえず近くの椅子に座ってもらおう。
背中に触れてミストに落ち着きを取り戻してもらった。
「デートってなんなんだ?」
「夜のリュウキは、ギルドで暇そうだったから、迷惑かからないかなあって……色々、用意してて」
グスンと鼻を鳴らすミストの涙をなんとなく拭う。
「それで、お金ないなっちゃって……」
段々と、これまでの装いがミストの計画に見えてくる。
「それって、店覚えてたら良いんじゃないのか?」
「お店とは合言葉で予約してたんだー、でも変態だから覚えてなーい!」
リドルがあーあって言ってくる。
「悪かったな」
「リュウキは悪くない、無くした私がばか!」
恋愛向いてないねってミストは寂しげに席を立つ。
『ミストアンドリリース』
自虐的に言い残して去ろうとする姿に耐えきれなかった。
「俺が悪い、俺の方が向いてない」
「違うよー! この話はもう終わり! だから言いたくなかったの!」
『デートプランは俺が握っていた』
隠し持っていた、かわいらしいメモを机に置いた。
『内容を……知っていた上で俺は探す様を笑っていた』




