プライドプラウド
俺はラッキーなのかもしれない。
『ありえない』
否定されても気にしない!
「とてつもなく、暇だ」
「そう言わずに」
夜明けまでリドルと喋りながら過ごした。
「いやー、幽霊になってから季節感覚はもうないよ、寒いだけでずっと氷河期」
「そうなのか」
「動いても変わらないから、気味悪いくらい」
「……嫌だな」
「でしょ? でも今は、暖かい」
消えないまま薄目でウトウトするカゲを見ているとタンザがやってきた。
ルビーはどこなんだ?
「カゲ、起きないとバレるぞ」
「届かないよ」
タンザがカゲに気づいて距離を取る。
「えっ、誰ですか」
「たんざ……っ!」
カゲは俺の方へ寝返りを打って背を向ける。
「あなたですか」
「…………」
カゲの表情を見たくて少しだけ移動する。
耳まで赤くしていて、恥ずかしそうなのが分かる!
「今のあなたは寝込みを襲ってるように見えて、滑稽です」
「そんなつもりは」
「あんなに邪険に扱っていたくせに、プライドはないんですか?」
タンザのキツい言葉は普通に見れば正しいと思える。
しかし! 俺は直前までカゲに怒られても仕方ない状況だった!
「む、むう……」
カゲに泣くんじゃないと声援を送る。
「いや、届かないからね?」
それまでスリスリしてくれていたカゲの動きが止まってしまう!
「意識がない時に触られて嬉しいと思えるんでしょうか」
嬉しいぞ!
「私は度胸の欠片もない人は好きじゃないです」
俺は好きだぞ!
『も、もう、コソコソするのはやめる……』
腕枕は終わりを告げ、静かにベッドが軋む。
カゲが降りていって寂しい。
『むうっ』
名残惜しそうに踵を返すと、猫耳を崩すことも忘れてスタスタ去っていった。
「タンザめっ! カゲが可哀想だぞ」
「言い過ぎ、かも?」
「そうだぞ」
それからタンザはルビーにひと鳴きで呼ばれるまで椅子に座っていた。
「そろそろ意識戻せると良いが」
「まだダメ」
今日のお尋ね者はシンス。少しだけ立ったまま見てくれた。
「リュウキは私と居るより、戻りたい?」
「戻っても、リドルは居るだろ」
「そうだけど……触ることは今しかできない」
「それはもったいないな、手を握ろう」
冷たい手をギュッと握って静かな時間を過ごす。
右手でリドルの髪に触れてみる。
「サラサラしてる?」
「それでいて、冷たい」
「リュウキも冷たいから、同じだね」
「俺は幽霊じゃないぞ」
「そういう意味じゃない」
どういう意味だと聞いても教えてくれなかった。




