◆◆◆◆ 5-31 密会 ◆◆◆◆
【 タシギ 】
「――それで? アタシになんか用なワケ? お偉い軍師サマがさぁ」
ひと気のない木陰に、銀・タシギの姿があった。
そして、もうひとり……
【 シュレイ 】
「…………」
楽・シュレイが押し黙ったまま立っている。
【 タシギ 】
「まさか、アタシを口説こうってんじゃないよねぇ? アハハッ! 大枚積んでくれるなら、考えてやってもいいけどさぁ……!」
【 シュレイ 】
「……半分は正解だ」
【 タシギ 】
「……はぁ?」
【 シュレイ 】
「銀司馬――貴公に、私の同志となってほしい」
【 タシギ 】
「……はぁぁ??」
【 シュレイ 】
「貴公が烙宰相の子飼いの臣であることは、もとより承知している。べつに、宰相を裏切れというわけではない」
【 シュレイ 】
「だが、時が来たら――私に力を貸して欲しいのだ」
【 タシギ 】
「はぁん……アタシに、嶺将軍につけっての?」
【 シュレイ 】
「そうではない。“私に”だ」
【 タシギ 】
「……へぇ……?」
タシギは仮面で目元を覆ったシュレイの顔をまじまじと見ていたが、
【 タシギ 】
「ククク! アンタ、なかなか面白いねぇ――いいよ、考えといてあげる」
【 シュレイ 】
「……結構だ。では、これを」
と、シュレイは紙片を取り出した。
【 タシギ 】
「あん? コイツは……」
【 シュレイ 】
「私から用があるときは、そこに字が浮かび上がる。もし、その内容に賛同できるならば――応じてもらいたい」
【 タシギ 】
「ふぅん……ま、もらっといてやるよ。話は終わりだろ? じゃあな」
タシギは紙片を掴み取ると、そのまま踵を返した。
【 シュレイ 】
「…………」
その後ろ姿を、シュレイは無言で見送った……
宙軍の一角、特殊部隊〈神鴉兵〉の陣幕……
【 アイリ 】
「……シンセ、シンセ……いくさは、もう終わったのかしら……?」
【 シンセ 】
「いえ――アイリ様。まだ始まったばかりです」
ひときわ厳重に覆われた幕舎の奥で、ふたりの女が言葉を交わしていた。
ひとりは幽・アイリ、グンムの情人であり、邪法を操る方士である。
その彼女にかしずいているのは、シュレイの従妹で神鴉兵の将たる楽・シンセであった。
【 アイリ 】
「そう……そうなのね……ああ、グンムさまは……いつ、会いにきてくださるのかしら……?」
【 シンセ 】
「今しばらくお待ちください。なにしろ、大いくさのさなかですので……」
【 アイリ 】
「ええ――待つわ。いつまでもね……あなたも寂しいでしょう、シンセ?」
【 シンセ 】
「――っ、い、いえ、私は……」
【 アイリ 】
「そう……? あなたはいつも寂しそうだけれど……私はね、ここにしか居場所がないの、グンムさまのおそばにしか……あなたもきっと、そうなのでしょう?」
【 シンセ 】
「それは――はい、そうです」
【 アイリ 】
「ああ……いやだわ……誰も、邪魔しないでほしいのに……それだけでいいのにね……」
【 シンセ 】
「……はい……」
アイリの嘆きに、シンセは深く頷いたのだった――
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