表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
85/421

◆◆◆◆ 5-30 嵐のあと ◆◆◆◆

 その夜。

 日中、十万を超える大軍が激突し、喊声が轟いていたとは思えないほどに、獅水しすいの地は静かだった。

 両軍の陣地に目をやれば、生き延びた兵士たちは肉を貪り酒を食らい、英気を養っている。

 そんな中、水面下ではさまざまな思惑がうごめいていた……



【 レツドウ 】

「手ごたえはいかほどかな、征南将軍」


【 グンム 】

「さて、まだまだ、お互い探り合い、というところでしょうか」


 レイ・グンムはラク・レツドウの幕舎に招かれ、盃を酌み交わしていた。


【 レツドウ 】

「ふむ……今のところは我が軍の方が数の上では優勢だが、敵には援軍があるのだったな」


【 グンム 】

「は、〈森羅しんら〉の援兵が、近々到着する予定とか」


【 レツドウ 】

「ならば、それまでに速戦でケリをつける、と?」


【 グンム 】

「さて、それは……相手の出方次第でありましょう」


【 レツドウ 】

「なるほど。……いくさの駆け引きに関しては、これまで通り、万事、貴公に任せる。頼りにしておるぞ、嶺将軍」


【 グンム 】

「は――かたじけなく」


 グンムは恭しく一礼しつつ、


【 グンム 】

(そいつはつまり――いくさ以外のことは、自分の領域だ、ってことか?)


 内心で、そう思ってもいた。


【 レツドウ 】

「……そう、焦ってはならぬ。なにごとも、焦りは禁物ゆえな……」


 そう自分に言い聞かせているようでいて、それはグンムに釘を刺しているかのようでもあった。


【 グンム 】

(これから、なにか手を打つってことか――いや、すでに?)




 また、別の幕舎では。


【 ユイ 】

「お見事でしたな、グンロウ殿――」


【 グンロウ 】

「おお……痛み入る!」


 虎王コオウ・ユイから酌をされて、レイ・グンロウは感謝を述べていた。


【 ユイ 】

「まさに鬼神さながらの武……あれほどの働きを見せれば、レイ将軍もさぞお喜びでしょう」


【 グンロウ 】

「は……いえ、この程度では、まだまだ……」


 ユイの賛辞にかぶりを振り、謙遜して見せる。


【 グンロウ 】

「兄者には、海より深く天より高い恩があります。もっと武功を立てて、大恩に報いねば……!」


【 ユイ 】

「そ、そうですか……」


【 グンロウ 】

「陽の当たらぬ暗がりで生きていた自分に、兄者は居場所を与えてくださいました……このご恩は、一生かけてもとうてい返し尽くせません……!」


 大した心酔ぶりだな、とユイは少し気圧された。

 それは兄弟の絆……というよりは、君臣そのもののようだ。


【 ユイ 】

(……俺とあねさんの関係みたいなもんか)


 人は出会いによって変わるものだ――と、ユイはしみじみと思った。


【 ユイ 】

(――あいつには、そうした巡り合わせがなかったのかもな)


 ふと、宙軍にいる顔なじみのことが思い出された……

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ