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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
82/421

◆◆◆◆ 5-27 兵法 ◆◆◆◆

【 ウツセ 】

「――誉れある一騎討ちを邪魔立てするとは、やはり官軍は腐り果てておりますな」


 そう吐き捨てるウツセに、


【 ヤクモ 】

「それもまた、グンムの器量というものかもしれぬ。……さて、そろそろ動きがありそうだな」


【 ウツセ 】

「……っ?」


 ヤクモの言にウツセが困惑する間にも、宙軍が動き始めた。


【 ウツセ 】

「っ! これはっ――」




【 ヘイジ 】

「あっ……北の軍が動き出しましたよ! あれって、鶴翼かくよくの陣……?」


【 ダイトウ 】

「ふむ、そのようだが――鶴翼がどんな陣か、わかっているのだろうな?」


【 ヘイジ 】

「わ、わかってますよ! こう……鶴が翼を広げたみたいな陣形で、敵を包囲してやっつけるんでしょ?」


【 ダイトウ 】

「うむ。大軍ならではの陣ではある」


【 ダイトウ 】

(……しかし、そう単純でもなさそうだ)




【 ミナモ 】

「むうっ……! まだ勝負はついておりませんのに、無粋ぶすいな輩ですわっ!」


 宙軍の動きに気づき、ミナモは怒声を放つ。

 とはいえ、ここに残っていては敵中に孤立し、包囲されかねない。


【 ミナモ 】

「是非もありませんっ……ドリュウ殿っ、ここはいったん下がりますわよっ!」


【 ドリュウ 】

「ぬうっ、しかし――」


【 ミナモ 】

「無駄死には許しませんわっ! さぁっ!」


【 ドリュウ 】

「うぬっ……心得た――心得たり! 宙の勇士よ、勝負は預けるぞっ!」


 ミナモとドリュウが馬を返し、一騎討ちの場から離脱せんとする。


【 タシギ 】

「はぁ~? 逃がすかよっ……!」


 タシギは追撃せんとするが、


【 グンロウ 】

「よかろう、この決着はいずれつけてくれる――飛鷹の勇士!」


 グンロウは自軍に合流すべく、引き下がっていく。


【 タシギ 】

「ちょっ、てめえっ……クソッ!」


 罵りつつも、タシギは単騎で追う愚は犯さず、


【 タシギ 】

「は~ぁ……しょうもな! ま、後は勝手にやらせてもらうけどぉ――」


 不満そうに鼻を鳴らしつつ、下がる他はない。


【 タシギ 】

(なにが神弓姫だか……その細っこい首、アタシが絶対ちょん切ってやるよ――)

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