◆◆◆◆ 5-24 激突 ◆◆◆◆
【 レツドウ 】
「まず、巡察使として大権を授けられながら、貢物を納めもせず、私欲を貪っておる。これが第一の罪である」
【 レツドウ 】
「また、度重なる帝都への召喚命令に応じようともせず、意地汚くも辺境に居座り、王侯のごとく振る舞っておる。これが第二の罪にほかならぬ」
【 レツドウ 】
「そして何より、こうしてはるばる問罪の師が到着したにもかかわらず、平伏して陳謝するどころか、武装して陣を構え、反抗の意志を見せる……」
*問罪の師……征伐の軍隊の意。
【 レツドウ 】
「この三つの大罪、どうして看過できようものか――」
*看過……見過ごすこと。
【 ヤクモ 】
「――なるほど、仰ることはわかり申した。されば答えましょうが、貢物が滞っているのは、ここ数年不作が続き、民は日々の食にも事欠くありさまゆえ」
【 ヤクモ 】
「また、召喚に応じぬのは、当地はいまだ乱れているがゆえに、たやすく離れるわけにはいかぬため」
【 ヤクモ 】
「さらにいえば、迂闊に都に顔を出しては、奸悪なる十二賊の餌食になりに行くようなもの――」
【 ヤクモ 】
「かつまた、降伏せぬのは、現地の事情を知らぬ宙の官吏ふぜいに、好き勝手な真似をさせぬため――そう、早い話が……」
【 ヤクモ 】
「――こちらはこちらで勝手にやりますゆえ、異郷の野に白骨をさらしたくなければ、とっととお帰りなさるがよろしかろう。あえて追撃もいたしますまい……!!」
【 南兵 】
「帰れ! 帰れ!! 尻尾を巻いて、帰りやがれ!!」
ヤクモの堂々たる宣戦布告に、南兵たちはどっと喊声をあげた。
【 レツドウ 】
「うぬ――天に仇なす逆徒めが、図に乗りおって!」
憤然とするレツドウであったが、もとより、みずから突進するような真似はしない。
【 レツドウ 】
「誰か、あの老いぼれをひっとらえて参れっ!!」
と、自軍へと呼びかければ、
【 グンロウ 】
「おおっ! 心得て候っ!!」
駿馬を駆り、二股の大刀を引っ提げて現れた大男は誰あろう、〈突先鋒〉の異名を持つ宙軍きっての豪傑、嶺・グンロウである。
【 ヤクモ 】
「ほう、活きのいい武者もいるようだが――誰か、相手をする者は?」
【 ドリュウ 】
「おおおおっ! この〈金髭龍〉に、金髭龍に任せておけいっ!!」
金色の髭をたなびかせ、長矛を手に気迫十分で一騎駆けしてきたのは、飛鷹の戦士、金髭龍こと翠・ドリュウである。
これまたグンロウに劣らぬ体躯で、格好の相手といえた。
【 グンロウ 】
「――おおおおっ!」
【 ドリュウ 】
「――ぬうううっ!」
並外れた巨漢同士が水飛沫を上げながら川に突っ込み、真っ向から衝突する――
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