◆◆◆◆ 5-22 獅水の戦い ◆◆◆◆
そして、数日後――
【 ヤクモ 】
「――よくぞ集まってくれた、我が朋輩たちよ――」
ヤクモの呼びかけに応え、各地より集った数万の精兵の前で、老将は矍鑠たる雄姿を見せつけていた。
*矍鑠……老いてなお勇壮な様子。
【 ヤクモ 】
「知っての通り、北より宙軍が攻めてきた。彼らの目的は、このヤクモを討つことにほかならぬ」
【 ヤクモ 】
「もし、我こそこの地を治めるに相応しい――と思う者がいるならば、遠慮はいらぬ。この皺首を獲って、宙軍に送りつけるがよい」
【 ヤクモ 】
「もっとも、むざむざくれてやる気はないがな――」
【 一同 】
「――――っ」
戦士たちが息を呑むなか、ヤクモは弓に矢をつがえると、
【 ヤクモ 】
「――ぬうんッ!!」
気合と共に、天に向かって射放った。
すると矢は速さに耐え切れず、あえなく燃え上がり、四散した。
【 一同 】
「おおっ――」
尋常ならざる強弓を見せつけられ、驚嘆する戦士たち。
【 ドリュウ 】
「大王に逆らう者などいようか! 我ら、こぞって力を合わせ、宙賊どもを返り討ちに、返り討ちにしてくれようぞっっ!!」
【 一同 】
「おおおおおっ……!!」
ドリュウの掛け声に、天地をどよもすような喊声が響き渡る。
【 ヤクモ 】
「良し――さらば征かん! 軟弱な官軍のやつばらに、我らの武、たっぷりと馳走してくれようぞ!!」
さらなる鬨の声が広がり、勇士たちの血潮を滾らせる。
こうして、後の世に〈獅水の戦い〉と記録される合戦が、今まさに始まろうとしていた――
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