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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
76/421

◆◆◆◆ 5-21 老雄、起つ ◆◆◆◆

 そのころ、岳南がくなんのヤクモの幕営にあっては――


【 偵察兵 】

「――官賊の先鋒、獅水しすいに至れり!」


 偵察に向かわせていた兵が戻り、官軍の接近を告げていた。


【 ヤクモ 】

「そうか。思ったより早かったな」


 〈南寇王なんこうおう〉ことスイ・ヤクモは、落ち着き払って報告を受け止めた。


【 ウツセ 】

「総司令がラク宰相とあって、あるいは足並みが乱れるのでは――とも思いましたが、そのようなこともなかったらしく……」


 ヤクモの副官たる〈辰康寧しんこうねい〉ことシン・ウツセは、さすがに神妙な表情をうかべている。


【 ヤクモ 】

「ふむ、レイ・グンムか……さらに厄介になったとみえる」


 ヤクモは懐かしげに頬を撫でた。

 グンムとはかつては駒を並べて戦った間柄だけに、少なからず感慨があるのだろう――と、ウツセはおもんぱかった。


【 ウツセ 】

「少し前まで郷里に隠棲していたと聞きますが……牙を隠していただけだった、というところでしょうか」


【 ヤクモ 】

「さて、どうだかな。昔からどこか飄然ひょうぜんとしていて、つかみどころのない男だったが」


【 ウツセ 】

森羅しんら軍の到着には、もうしばらくかかりそうです」


【 ヤクモ 】

「とはいえ、ここでのんびり待っているわけにもいくまい。帝都からはるばる遠征してきたのだ、盛大に出迎えてやらねばな」


 そう語るヤクモは、どこか楽しげであった。


【 ウツセ 】

(この御方は、やはり戦場がよく似合う)


 ウツセはしみじみとそう思った。

 紆余曲折あって、現在は君主のような立場にあるものの、この老将の本質は、どこまでいっても武人なのだろう。


【 ウツセ 】

「すでに動員はかけております。後は、先鋒せんぽうを決めるだけですが……」


 と、話しているところへ。


【 ミナモ 】

「父上っ! 敵が迫っていると聞きましたわ! どうかわたくしに先鋒をお任せくださいませっ! へなちょこな官軍どもなど、片っぱしから矢の的にしてさしあげますとも!」


【 ドリュウ 】

「いやいや、ここは俺に、俺に任せてもらおう! 〈飛鷹ひよう〉の誇りにかけて、宙人ちゅうひとどもの好きにはさせんっ! させんともっ!」


 〈神弓姫しんきゅうき〉ことスイ・ミナモ、〈金髭龍きんひげりゅう〉ことスイ・ドリュウらが飛び込んできて、先鋒に名乗りをあげる。


【 ヤクモ 】

「威勢のいいことだ」


【 ウツセ 】

「…………」


 ヤクモは目を細めて微笑み、ウツセは嘆息した……

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