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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
58/421

◆◆◆◆ 5-3 女の闘い ◆◆◆◆

【 ミナモ 】

「わたくしの実力、しかとその目ン玉かっぴろげて見るがいいですわ!」


【 ヴァンドーラ 】

「弱い犬ほどよく吼えるというもの――」


 大勢の森羅の女戦士たちが見守る中、愛馬にまたがったミナモとヴァンドーラが対峙している。


【 アグラニカ 】

「まずは、弓の腕をもって武を示すべし――」


 合図とともに、両騎が動き始める。


【 ヴァンドーラ 】

「はっ――!」


 ヴァンドーラが弓を引きしぼり、矢を放った。


【 ミナモ 】

「――――っ」


 空を割く一閃を、ミナモがすんででかわす。


【 ミナモ 】

「やりますわね――しかし!」


 ミナモが矢をつがえ、気合とともに放てば、


【 ヴァンドーラ 】

「ぬうっ……!?」


 精妙きまわる一矢が、ヴァンドーラの手にした弓を見事に弾き飛ばしていた。


【 観衆たち 】

「おおおっ……!」


 ミナモの離れ業に、女戦士たちの驚嘆の声があがる。


【 アグラニカ 】

「なるほど、神弓姫の異名は伊達にあらず――されば、次は槍を持って示すべし――」


 今度は両者が先端に布の巻かれた槍を持ち、打ち合う。

 布には赤い塗料が付着しており、腕を競うわけだが――


【 ミナモ 】

「くっ……!」


 十数合も打ち合うと、ミナモの方が朱に染まってきていた。

 どうやら槍においては、ヴァンドーラに一日の長があるらしい。


【 アグラニカ 】

「それまで――されば、最後は組み打ちをもって武を示すべし!」


【 ミナモ 】

「お安い御用ですわっ!!」


 と、ミナモは槍を放ると、そのままヴァンドーラに掴みかかっていった。


【 ヴァンドーラ 】

「小癪なりっ!」


 森羅の女将軍も一歩も引かず、これと真っ向から渡り合う。

 組み合ったまま馬から転がり落ちても離れることなく、上となり下となり、休むことなく相争う。

 取っ組み合いとなれば、これは軽装のヴァンドーラに分があったが、


【 ミナモ 】

「――ええいっ、うっとうしいですわっ!!」


 と、ミナモは距離をとると、具足を脱ぎ捨て着衣をはだけ、森羅の戦士もかくやというあられもない姿となった。


【 ミナモ 】

「ふんぬっ!」


 拳を唸らせ蹴りを繰り出し、渾身の勇をふるって立ち向かう。


【 ヴァンドーラ 】

「何のっ……!」


 いずれも譲らず、激しくもつれ合い、ぶつかり合う両雄。

 そんな姿に観戦者たちも目を奪われ、歓声が響き渡り――


【 アグラニカ 】

「――そこまで――」


 両者汗みずくの泥まみれになったところで、女王が告げた。


【 アグラニカ 】

「この勝負は五分と五分――ゆえに、引き分けとすべし」


 そう裁定が下されると、どっと観衆が沸き、両者を称えた。


【 ミナモ 】

「ぜぇ、ぜぇっ……なかなか、やりますわねっ……!」


【 ヴァンドーラ 】

其処許そこもとこそ、見事なり……!」


 ぶつかり合った二人も手を取り合い、互いを認め合っている。


【 ウツセ 】

「やれやれ……」


 そんな様子にウツセは安堵しつつも、


【 ウツセ 】

(――しかし、これで万事解決、とはなるまいな)


 己に向けられる森羅人しんらびとの視線を感じつつ、そう確信していたのだった。

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