◆◆◆◆ 4-7 大乱の序曲 ◆◆◆◆
【 ホノカナ 】
「いくさが――始まるんですね」
南方征伐の軍が起こされることが決定したその夜、ミズキの部屋にいつもの顔が集っていた。
【 ヨスガ 】
「……そうなるな」
渋い顔で首肯してみせるヨスガ。
【 ヨスガ 】
「百官どもの顔を見せてやりたかったぞ。これから面倒事の連続だというのに、なにやら楽しげであった」
【 ランブ 】
「……いくさには、そういう面もあります」
ランブがぽつりとつぶやく。
【 ミズキ 】
「勝ちいくさに乗れるとなれば、なおさらのことでしょうね」
【 ヨスガ 】
「ふん、勝てると決まったわけでもなかろうにな」
【 セイレン 】
「いやはや、ようやく大きな駒が動き出しましたな! これでこそ天下を揺るがす風が吹き乱れ、新たなる世のうねりが生じようというもの!」
【 ヨスガ 】
「相変わらずうるさいなそなたは……というか、ここ最近見かけなかったではないか。どこをほっつき歩いていた?」
【 セイレン 】
「し、失敬なっ! ちょっと野暮用があったのです! 私にもそれなりの付き合いがありますので!」
【 ヨスガ 】
「どうだか……」
そんなやりとりをよそに、
【 ホノカナ 】
(わたしは――わたしたちは、どうなるんだろう……?)
漠然とした不安をおぼえつつ、ホノカナは大きな変化のきざしを否応なく感じ取っていた……
それから数日ののち、岳北の小邑にて――
【 グンム 】
「――謹んでお受けする、とお伝えください」
朝廷からの使者をグンムはうやうやしく迎え、さっそく支度にとりかかることにした。
【 グンロウ 】
「おおっ、いよいよだなっ! やはり兄者にはこんな片田舎より、戦場がふさわしいというものっ!」
グンロウは大いに喜び、腕を撫している。
【 シュレイ 】
「――もはや、迷いはないようですな?」
【 グンム 】
「そりゃあ、そうなるさ。こうなったからには、もうやるしかあるまいよ」
【 シュレイ 】
「頼もしいことです」
【 グンム 】
「そういえば、弟弟子どのはどうした?」
【 シュレイ 】
「それが……仙薬の材料を探すと言って出ていったきりです。言伝は残していくつもりですが」
幽聖岳の方士である碧・サノウの行方は、定かではないようだった。
【 グンム 】
「そうか。……アイリの件、少しは期待してたんだがなぁ」
【 シュレイ 】
「なにぶん、仙薬のこと以外には興味の薄い男ゆえ……」
【 グンム 】
「ま、仕方ない。とはいえ、アイリもここに置いていくわけにはいかぬが……」
【 シュレイ 】
「それについては、心当たりがあります。お任せを」
【 グンム 】
「む……頼もしいことだ」
ともあれ、
【 グンム 】
「さて――征くぞ、野郎ども!! 手柄を立てて、富貴栄達をほしいままにしようじゃねぇか!!」
【 一同 】
「おおおおっ!!」
グンムの気勢に、グンロウをはじめとする猛者どもが呼応する。
【 シュレイ 】
(――ようやく、近づいてきたようだ)
意気盛んな男たちを見やりながら、楽・シュレイは内心でほくそ笑む。
【 シュレイ 】
(我が大望を果たすに足る、乱世が――――)
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