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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
421/421

◆◆◆◆ 10-13 冥境の少女 ◆◆◆◆

 地上にて動乱の予兆が迫るなか……

 人知れず、地の底をさまよう影があった。


【 セイレン 】

「う~ん……こっちのはずなんですがねぇ……」


 首を傾げる〈アイ・セイレン〉。


【 ホノカナ 】

「うぅ……い……いつになったら、外に出られるんでしょうか……」


 〈リン・ホノカナ〉が嘆き節をこぼす。

 いったい、どれだけの間、地下をさすらっているのだろう?


【 ホノカナ 】

(もう、何日も経ったような……でも、まだ半日も経っていないような……)


 闇の中では、時間の感覚もあやふやになるばかりだった。

 意識が朦朧もうろうとなりつつも、どうにか歩を進めることができるのは……


 コロコロ……


【 セイレン 】

「……おっ! また強壮剤が! いやあ、これも日ごろの行いというものですねぇ! どうぞ、ホノカナ殿!」


【 ホノカナ 】

「……明らかにおかしい気がするんですけどっ……」


 しかしあれこれ考える余裕もなく、セイレンから受け取った瓶の中身を飲み干す。


【 ホノカナ 】

「ごくごく……ぷはぁ……な、なんとか動けそうですっ……」


【 セイレン 】

「さぁ、もう少しですよ! ……多分ですが!」


【 暗庭君あんてんくん 】

(……やれやれ……)


 その後をついていく暗庭君。

 いっそ、地上まで運んでやろうかと思いつつ、今となっては顔を出しづらくなっている。


【 暗庭君 】

(まァ、いいか……)


 数百年を生きる方士にとっては、数日も数週間も、さしたる違いはないのだった。




【 ホノカナ 】

「はぁっ……はぁっ……」


【 ホノカナ 】

(ヨスガ姉さまたちは……どうなってるんだろう……)


【 ホノカナ 】

(アルカナ……元気に、してるのかな……)


 重い足を引きずるホノカナの心の中に、声が響く。


 ――そんなに、無理しなくても。


 ――誰も、あなたには期待していない。


 ――大変なことは、誰かに任せておけばいいのに。


【 ホノカナ 】

(そう……かもしれない)


 自分にできることなど、ちっぽけなもので。

 天下国家の動きに比べれば、吹けば飛ぶような存在でしかない……


【 ホノカナ 】

(それでも、わたしはっ……)


 無力であっても――いや、無力なればこそ、できることもあるだろう。


【 ホノカナ 】

(姉さまのような威厳はないし、他の皆さんみたいにすごい武勇もないけれどっ……)


 なにか、できることはあるはずだ。

 そう信じているから――


【 ホノカナ 】

(止まるわけには……いかないっ!)


 と、そのとき。


 ――カッ!!


【 ホノカナ 】

「……わっ!?」


【 セイレン 】

「ううっ!? ま、まぶしっ……」


 いつぞやのように、ホノカナが背負う宝剣〈赫龍輝剣かくりゅうきけん〉が鞘から抜け、光を放っていた。


【 セイレン 】

「む――これは、壁に、亀裂が……」


 光に照らされ、うっすらとした裂け目が露わになる。


【 セイレン 】

「これは――アレですよ! 宝剣が真の力をアレしたみたいなっ……うん、そういう感じの!」


【 ホノカナ 】

「ものすごくぼんやりした感想……!」


【 セイレン 】

「ホノカナ殿、その剣でこの壁を斬ってみてください! きっと、イイ感じになるはず……おおむね!」


【 ホノカナ 】

「どこまでも自信なさそうっ……で、でも、やってみますっ……!」


 宝剣を抜き放ち、構える。


【 ホノカナ 】

「すぅ……はぁっ……」


 輝く刀身に、思いを込める。


【 ホノカナ 】

「わたしたちのゆく道は――わたしたちで――選び取ってみせますっ……!」


【 ホノカナ 】

「――――ええいッ!」


 気合とともに、己の運命を切りひらくかのごとく、ホノカナは剣を振り下ろす。

 そして、閃光とともに岩が切り裂かれ――


 ――ガキィンッ!


【 ホノカナ 】

「……いったあぁっ!?」


 ――そううまくはいかず、あえなく跳ね返されてしまった。


【 セイレン 】

「う~ん、現実は厳しいですねぇ……」


【 ホノカナ 】

「ううっ……そ、そんなぁっ……」


【 セイレン 】

「世の中、そんなに甘くは――むむっ?」


 ピシリ――ピシッ……


 見る間に、壁の亀裂が広がっていく。


【 セイレン 】

「おおっ! これはっ……」


【 ホノカナ 】

「…………っ!」


 ――己の道は、己で選び、己で進むほかはない。

 リン・ホノカナとその仲間たちの運命が、果たしていかなる結末にたどりつくのか――


 それは、いまだ、さだかではないのだった。




薄明はくめいのエンプレス~大宙帝国興亡記~』

第一部「落華流帝らっかりゅうてい」編・完



(To Be Continued……)

第一部あとがき


2021年12月より続いてまいりました『薄明はくめいのエンプレス~大宙帝国興亡記~』、これにて第一部完結です!

おかげさまで毎日更新を続けることができました。

これまでお付き合いいただき、ありがとうございました!


ご感想やレビューなどいただけましたら嬉しいです(^^)


しばらく充電期間に入りますが、続きの構想はもちろんありますので、そう遠くない未来……

第二部『廃帝陛下の気まぐれ帝国漫遊記(仮)』編でお会いできればと!


再見それではまた

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