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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
408/421

◆◆◆◆ 9-108 鶴風の戦い(57) ◆◆◆◆

 怪我人の応急処置が終わったところで……


【 ヨスガ 】

「――かなりの騒ぎだったゆえ、もはや敵軍にもこちらの位置は気取られていよう」


【 ヨスガ 】

「ゆえに、このまま夜通し宝玲山へ向かう……!」


【 一同 】

『ははっ……!』


 ヨスガの号令一下、重傷者は担架に乗せられ、残存兵たちは移動を開始したのだった。




 ……一方、その頃……


【 ホノカナ 】

「あのぉ~……セイレンさん、言いにくいんですけどぉ……」


【 セイレン 】

「……言いにくいことは、無理に言わなくてもいいんじゃないですかね?」


【 ホノカナ 】

「いつになったら地上に出られるんですかっ!?」


【 セイレン 】

「くっ……はっきり言いましたね……!」


 ホノカナとセイレンは、地上へ向かって移動していた。

 しかし、地下道は恐ろしく細かく分岐しており、どれが正しい道やら、さだかではない。


【 セイレン 】

「……まあでも、とりあえず上に向かってるのは確かですから! ええ、ご心配なく!」


【 ホノカナ 】

「そりゃあ、いつかは出られるかもですけどっ、早く応援を呼びに行かないと、姉さまたちがっ……」


【 ホノカナ 】

「ううっ……この前はすごく頼もしかったのに! あのときのセイレンさんはいったいどこへ行っちゃったんですか!?」


 〈黄泉洞こうせんどう〉におけるセイレンは、ふだんとは段違いに頼りがいがあったのだが……あれは幻だったのだろうか?


【 セイレン 】

「私が聞きたいくらいですよ! あのときはその――なんかこう――かなり、いい感じだったんですっ!」


【 ホノカナ 】

「ぼんやりしすぎてる……!」


【 暗庭君あんてんくん 】

(……なにをやってるんだ、こいつらは……)


 師にホノカナらと同行するよう命じられた暗庭君だったが、あまり関わり合いになりたくないので、身を隠したままこっそりと後をつけているのだった。


 チカ……チカ……


【 ホノカナ 】

「あれっ? セイレンさん、杖の光、点滅してますけど……」


【 セイレン 】

「うう……そろそろ力がなくなってきて……明かりも消えそうっ……」


【 ホノカナ 】

「ええ~っ!? も、もう少しがんばってください~っ!」


【 暗庭君 】

(はァ……しょうがねェな……)


 溜め息まじりに、懐から取り出した瓶をこっそりセイレンの足元へと転がしてやる。


【 セイレン 】

「……んっ? おおっ、こんなところに滋養強壮の霊薬が落ちているとはっ! なんとも幸運でしたっ!」


【 ホノカナ 】

「ええっ? そんなの、危ないんじゃっ……」


【 セイレン 】

「ごくごくごく」


【 ホノカナ 】

「ためらうこともなく一気に飲み干してる!?」


【 セイレン 】

「……うっ……ううっ……」


【 ホノカナ 】

「だ、大丈夫ですかっ!?」


【 セイレン 】

「う――おおおおおっ! 元気がモリモリ湧いてきましたっ! さぁ、急ぎますよっ、ホノカナ殿っ!」


 タッタッタ……


【 ホノカナ 】

「ええっ!? ちょ、ちょっと待ってください~!」


 元気よく駆け出したセイレンを慌てて追いかけていく。


【 暗庭君 】

(はァ……)


 早く帰りたい、と思うことしきりの暗庭君であった。




 ――かくして。

 大宙暦3133年(帝ヨスガ2年)、仲秋の月(8月)、天子ヨスガは帝都から姿をくらました。

 鶴風かくふう城の攻防からはじまった一連の戦いは、のちの世に〈鶴風の戦い〉と呼ばれることとなる。


 そして、これより天下の情勢は大きく動き始めるのだった――



(第九幕:完)

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!


これにて第九幕完、次回より第一部の終幕です!

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