表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
388/421

◆◆◆◆ 9-88 鶴風の戦い(37) ◆◆◆◆

 一方、そのころ……


【 ヨスガ 】

「これは――」


 逃避行を続けるヨスガたちだったが、その足を止めざるを得ない事態に直面していた。


【 ホノカナ 】

「ま、まるで、嵐でも来たみたいな……!?」


 大量の倒木が、北進する一同の行く手を阻んでいる。

 山ひとつ分はあろうかという木が積み重なっており、馬で乗り超えるのはとうてい不可能であった。


【 ミズキ 】

「暴風にぎ倒されたように見えますが……さすがにこれでは、進めそうにありませんね」


 ――これぞ、かの獰鵬天聖があらかじめ済ませていた妨害工作であったが、ヨスガたちには知る由もない。


【 エキセン 】

「クク……爆破するというのは……?」


【 ヨスガ 】

「いや……さすがに、これだけの量は無理であろう」


【 ミズキ 】

「いかがなさいます? 迂回するほかは……」


【 ヨスガ 】

「そうなれば、かなりの遠回りになる。その間に追いつかれる可能性は否定できぬな。……可能性の話だが」


【 ホノカナ 】

「…………っ」


 敵に追いつかれる――ということはすなわち、殿軍しんがりを買って出たエイ・バイシがたおれた、というのとほぼ同義である。

 考えたくはないことも考えねばならないヨスガの心情を思いやり、ホノカナは胸を痛めた。


【 ヨスガ 】

「……大軍師にして比類なき方術使いどの、なにか手はあるか?」


【 セイレン 】

「ふむ――」


【 セイレン 】

「…………」


【 セイレン 】

「――ありませんね!(キリッ)」


【 ヨスガ 】

「いちいち溜めてからキメ顔で言うことかっ……!」


【 ミズキ 】

土遁どとんの術でなんとかならないのですか? たとえば、隧道トンネルを掘るとか――」


【 セイレン 】

「おおっ! なるほど、その手がありましたね――よろしい、やってみるとしましょうっ!」


【 ホノカナ 】

「どうしてそんなに偉そうに……!?」


【 セイレン 】

「え~っと、たしか、あれがこうで、これをこうして――」


 セイレンはなにやら唱えてから、手にした杖を掲げる。


【 セイレン 】

「――ええいっ!」


 気合とともに、杖を振り下ろす――


【 一同 】

『…………っ!!』


 ――スポンッ!


 気の抜けた音とともに、ぽっかりと地面に穴が空いた。


【 セイレン 】

「ふうぅっ……いかがですっ?」


【 ヨスガ 】

「……いや、ひと仕事終えたような顔をするでないっ!」


【 ホノカナ 】

「たしかに、穴は空きましたけど……」


【 ミズキ 】

「……人ひとりくらいしか通れなさそうですね」


【 セイレン 】

「そんなね、いきなりね、大きな穴なんて空けられませんよっ! あっ、陛下だけでもここから脱出していただく、というのはいかがですっ?」


【 ヨスガ 】

「むむむ……」


【 ホノカナ 】

「…………っ」


 ――この逃走劇においてもっとも重要なのは、ヨスガが生き残り、宝玲山ほうれいざんまで逃げ延びることである。

 それを最優先とするならば、たしかに一手ではあるが……


【 ヨスガ 】

「……さすがに、この穴に命運をかける気にはなれぬな。そもそも、ちゃんと向こう側につながっているのか?」


【 セイレン 】

「…………さあ?」


【 ホノカナ 】

「さあ!?」


【 ヨスガ 】

「ああ、そんなところであろうな! ふむ、しかし――」


 ヨスガの目が、ホノカナに向く。


【 ホノカナ 】

「……えっ?」


【 ヨスガ 】

「――生かす手は、あるようだ」


【 ホノカナ 】

「…………っ」


 ホノカナは、猛烈に嫌な予感を覚えた――

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ