◆◆◆◆ 9-85 鶴風の戦い(34) ◆◆◆◆
【 ギョクレン 】
「ええいっ、小牛姫っ! これしきの結界、ぶち破ってみせるのでございます!」
【 小牛姫 】
「メェェェ……!」
ギョクレンの命に応じて、霊獣・小牛姫が飛翔する――
――ボワワン……
【 小牛姫 】
「ンメェェェ……!」
【 ギョクレン 】
「……ぬわっ!?」
空気の壁にぶつかり、あえなく跳ね返されてしまう。
【 獰鵬天聖 】
「ま……そう簡単に破れはせんよ。我が〈烏籠〉の陣は」
【 ギョクレン 】
「ぐぬぬっ……! ずる賢い真似をっ!」
【 黒猫 】
「…………」
獰鵬天聖の肩の上の黒猫が、興味なさそうにどこか遠くを見ている。
【 獰鵬天聖 】
「さて……このまま、しばらく君を閉じ込めておけば、それで私の役目は終わりなのだが――」
【 獰鵬天聖 】
「――しかし、それだけでは、つまらんだろう?」
バサッ……
獰鵬天聖の翼が広がる。
【 ギョクレン 】
「…………っ!」
【 獰鵬天聖 】
「――“乱”!」
――ゴオオオッ!!
【 ギョクレン 】
「……んぐううっ!?」
【 小牛姫 】
「メヘェェェッ……!?」
結界内に、突如、凄まじい強風が吹き荒れる……!
密閉された空間の中に嵐が巻き起これば、その中にいる者がどうなるかは明白で――
――ドカッ! ドォンッ!
【 ギョクレン 】
「――んぐっ!? くうううっ……!?」
【 小牛姫 】
「ンメェヘェッ……!?」
ギョクレンは霊獣ともども、空気の壁に幾度となく叩きつけられる!
一度の衝撃は弱くとも、何度も叩きつけられれば、積み重ねられる痛手は尋常ではない。
【 獰鵬天聖 】
「足止めしろ、と言われているが――」
【 獰鵬天聖 】
「――別に、片付けてはならぬ、とは言われていないのでね」
【 ギョクレン 】
「……ぐっ! うっ、このっ……うぐっ!?」
【 獰鵬天聖 】
「神仙だの方士だのというのは、不老不死になるのが大目的だ。それ以外のことは、ま、所詮は、余技にすぎん」
*余技……専門外の技術の意。
悶絶するギョクレンたちを見ながら、獰鵬天聖は淡々と続ける。
【 獰鵬天聖 】
「だが、せっかく磨いた術――使ってみたいと思うのは、当然ではないかな?」
【 ギョクレン 】
「ぐっ……ぬううっ……!」
【 獰鵬天聖 】
「さて……こんなところか?」
風が収まった。
【 ギョクレン 】
「くっ……はっ……小牛姫っ……大丈夫でございますかっ……」
さんざん空気の壁に叩きつけられ、ギョクレンは朦朧となっている。
【 小牛姫 】
「……ン……メェェェ……」
小牛姫と呼ばれた霊獣は、すっかり疲弊し、息も絶え絶えというありさま。
【 獰鵬天聖 】
「ふむ……やはり、損害はさほどではないようだ。風の壁で囲んでいる以上、仕方ないが」
【 ギョクレン 】
「ぐ、ぬぬっ……あんたっ……調子に乗るのもっ、いいかげんにするでございますっ……!」
【 獰鵬天聖 】
「多少は痛めつけることができても、致命傷にはならぬか……ならば、これならどうかな――“轟”」
――ゴゴォオオオッ!
【 ギョクレン 】
「ぐっ!? ううぅっ……!?」
先ほどの数倍の勢いの猛烈な烈風が、結界内を暴れ回る!
そうなれば、ギョクレンたちは――
――ドォンッ! ドドドッ! バァンッ!
【 ギョクレン 】
「…………っ!」
嵐に舞う木の葉のごとく翻弄され、何度となく空気の壁に打ちつけられていく……!
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