◆◆◆◆ 9-83 鶴風の戦い(32) ◆◆◆◆
暴風雨の混乱に生じて、本陣襲撃を図ったランブ――
その非情の大斧が、グンム目がけて振り下ろされる!
【 グンム 】
「――――っ!」
――ガキィィッ!
【 ランブ 】
「ぬうっ……!」
グンムを両断せんと繰り出された強烈無比の一撃は、しかし、すんでで阻止されていた。
【 ダンテツ 】
「ぐっ……ぬっ! さすがにっ……重いっ!」
間一髪、グンムを守ってランブの熾烈な斬撃を受け止めたのは、ダンテツであった。
防いだ大刀がきしみ、乗馬の蹄が地にめり込むほどの衝撃だったが、かろうじてしのぎ切ったのである。
【 ランブ 】
「ダンテツ殿かっ! こんなところで相まみえようとはっ!」
飛びすさりながら、左右の斧を構えるランブ。
【 ダンテツ 】
「命知らずな真似をするものですなっ、ランブ小姐っ……嶺将軍っ、お下がりをっ!」
【 グンム 】
「うむ――恩に着る、ダンテツ卿っ!」
グンムは馬を返し、その場を離れんとする。
【 ランブ 】
「逃がす、ものかっ……!」
【 ダンテツ 】
「そうは――いきませんなっ!」
――ガキッ! ギギッ……!
ランブの斧と、ダンテツの大刀が噛み合い、火花を散らす……!
【 ランブ 】
「貴殿ほどの方がっ……謀叛人に、与するのですかっ!」
【 ダンテツ 】
「……そちらにはそちらの、こちらにはこちらの……大義があるのですっ……!」
ランブをダンテツが足止めしている間に、グンムは本陣を離れようとするが――
――ザクッ! ブシュウッ!
【 官軍の兵 】
「ぎゃっ……!?」
【 官軍の兵 】
「ぐあっ……ああっ!?」
新たに飛び出してきた騎兵が、周囲の兵を次々と薙ぎ倒す……!
【 グンム 】
「ぬ――新手かっ!」
【 カズサ 】
「おーっほっほっほっ! わが名は閃・カズサ! 人呼んで緋閃剣――陛下に仇なす乱臣、ここで討ち取ってあげるわっ!」
【 官軍の兵 】
「くそっ、将軍をお守りしろっ!」
【 官軍の兵 】
「近づけるなっ……!」
【 カズサ 】
「邪魔を……するならっ!」
――ドシュッ! ザシュウウッ!
【 官軍の兵たち 】
『ぐあああっ!?』
カズサの目にも止まらぬ斬撃で、たちまち兵たちが切り倒される。
【 カズサ 】
「賊臣、嶺・グンム! その命――置いていきなさいっ!」
【 グンム 】
「…………っ!」
【 カズサ 】
「緋閃――――十文字斬りぃっ!」
馬上から跳ね飛んだカズサが、グンムへと肉薄する――
【 カズサ 】
「はぁああっ!」
――ドシュッ! ザシュウッ!!
【 カズサ 】
「…………なっ!?」
カズサの刃は、グンムには届かなかった。
代わりに、彼女の左右の剣が斬ったのは――
【 シラクサ 】
『グッ……ぬっ、うううっ……!』
甲冑姿の我影也……〈颯・シラクサ〉。
【 グンム 】
「…………っ!」
その、一瞬の隙に。
グンムは馬を加速させ、兵たちの中へと飛び込んでいった。
――もはや、好機は去ったのである。
【 カズサ 】
「……くうっ! 大姐っ、しくじりましたっ!」
【 ランブ 】
「ならば――退くのみっ!」
【 官軍の兵 】
「逃がしてなるものかっ……!」
【 官軍の兵 】
「おおっ、生かして帰すなっ!」
ランブたちを討とうと、兵たちが一斉に押し寄せてくる。
【 ダンテツ 】
「……ランブ、殿っ!」
【 ランブ 】
「――――っ」
ダンテツを一瞥して。
【 ランブ 】
「――参るっ!」
【 カズサ 】
「死にたくなければ、邪魔しないことねっ!」
ランブはカズサともども、荒れ狂う風雨の中、迫る敵兵を蹴散らしつつ、本陣から飛び出していった――
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