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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
383/421

◆◆◆◆ 9-83 鶴風の戦い(32) ◆◆◆◆

 暴風雨の混乱に生じて、本陣襲撃を図ったランブ――

 その非情の大斧が、グンム目がけて振り下ろされる!


【 グンム 】

「――――っ!」


 ――ガキィィッ!


【 ランブ 】

「ぬうっ……!」


 グンムを両断せんと繰り出された強烈無比の一撃は、しかし、すんでで阻止されていた。


【 ダンテツ 】

「ぐっ……ぬっ! さすがにっ……重いっ!」


 間一髪、グンムを守ってランブの熾烈な斬撃を受け止めたのは、ダンテツであった。

 防いだ大刀がきしみ、乗馬の蹄が地にめり込むほどの衝撃だったが、かろうじてしのぎ切ったのである。


【 ランブ 】

「ダンテツ殿かっ! こんなところで相まみえようとはっ!」


 飛びすさりながら、左右の斧を構えるランブ。


【 ダンテツ 】

「命知らずな真似をするものですなっ、ランブ小姐おじょうさまっ……レイ将軍っ、お下がりをっ!」


【 グンム 】

「うむ――恩に着る、ダンテツ卿っ!」


 グンムは馬を返し、その場を離れんとする。


【 ランブ 】

「逃がす、ものかっ……!」


【 ダンテツ 】

「そうは――いきませんなっ!」


 ――ガキッ! ギギッ……!


 ランブの斧と、ダンテツの大刀が噛み合い、火花を散らす……!


【 ランブ 】

「貴殿ほどの方がっ……謀叛人に、くみするのですかっ!」


【 ダンテツ 】

「……そちらにはそちらの、こちらにはこちらの……大義があるのですっ……!」




 ランブをダンテツが足止めしている間に、グンムは本陣を離れようとするが――


 ――ザクッ! ブシュウッ!


【 官軍の兵 】

「ぎゃっ……!?」


【 官軍の兵 】

「ぐあっ……ああっ!?」


 新たに飛び出してきた騎兵が、周囲の兵を次々と薙ぎ倒す……!


【 グンム 】

「ぬ――新手かっ!」


【 カズサ 】

「おーっほっほっほっ! わが名はセン・カズサ! 人呼んで緋閃剣ひせんけん――陛下に仇なす乱臣らんしん、ここで討ち取ってあげるわっ!」


【 官軍の兵 】

「くそっ、将軍をお守りしろっ!」


【 官軍の兵 】

「近づけるなっ……!」


【 カズサ 】

「邪魔を……するならっ!」


 ――ドシュッ! ザシュウウッ!


【 官軍の兵たち 】

『ぐあああっ!?』


 カズサの目にも止まらぬ斬撃で、たちまち兵たちが切り倒される。


【 カズサ 】

「賊臣、レイ・グンム! その命――置いていきなさいっ!」


【 グンム 】

「…………っ!」


【 カズサ 】

「緋閃――――十文字斬りぃっ!」


 馬上から跳ね飛んだカズサが、グンムへと肉薄する――


【 カズサ 】

「はぁああっ!」


 ――ドシュッ! ザシュウッ!!


【 カズサ 】

「…………なっ!?」


 カズサの刃は、グンムには届かなかった。

 代わりに、彼女の左右の剣が斬ったのは――


【 シラクサ 】

『グッ……ぬっ、うううっ……!』


 甲冑姿の我影也しのびのもの……〈サツ・シラクサ〉。


【 グンム 】

「…………っ!」


 その、一瞬の隙に。

 グンムは馬を加速させ、兵たちの中へと飛び込んでいった。

 ――もはや、好機は去ったのである。


【 カズサ 】

「……くうっ! 大姐おねえさまっ、しくじりましたっ!」


【 ランブ 】

「ならば――退くのみっ!」


【 官軍の兵 】

「逃がしてなるものかっ……!」


【 官軍の兵 】

「おおっ、生かして帰すなっ!」


 ランブたちを討とうと、兵たちが一斉に押し寄せてくる。


【 ダンテツ 】

「……ランブ、殿っ!」


【 ランブ 】

「――――っ」


 ダンテツを一瞥いちべつして。


【 ランブ 】

「――参るっ!」


【 カズサ 】

「死にたくなければ、邪魔しないことねっ!」


 ランブはカズサともども、荒れ狂う風雨の中、迫る敵兵を蹴散らしつつ、本陣から飛び出していった――

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