◆◆◆◆ 9-75 鶴風の戦い(24) ◆◆◆◆
【 アグラニカ 】
「……申し訳ありません、辰将軍。その、いささか、直情な娘でして……」
ばつが悪そうに無礼を詫びるアグラニカ。
【 ウツセ 】
「いえ、気にしてはおりませんよ。若いうちは、あれくらいの気概がなくては」
苦笑するウツセ。
【 タイザン 】
「――それはさておき、これからどうなさる?」
【 ウツセ 】
「ふむ……」
と言っているところへ、
【 森羅の兵 】
「――陛下っ! アシアンディーカがっ……!」
【 アグラニカ 】
「…………っ!」
【 アシアンディーカ 】
「――姉者人ともあろう御方が、あのような口だけの男に惑わされてっ……!」
アシアンディーカはただ一騎、陣を飛び出していた。
【 アシアンディーカ 】
「やつがれの実力……見せつけてくれるっ!」
【 バイシ 】
「……やれやれ」
ドリュウたちを撃退したのち、バイシは一息ついていた。
かつては一昼夜戦い続けても平気だったが、今はそうもいかず、身体がひどく重く感じる。
【 バイシ 】
(さすがに、ごまかしが利かなくなってきたねえ)
と、そこへ――
【 ???? 】
「――副頭目っ!!」
【 バイシ 】
「……ん?」
前方から引き返してきた一団があった。
【 無頼漢 】
「今こそ、ご恩に報いたく……!」
【 無頼漢たち 】
『微力ながら参上しましたっ!』
駆けつけたのは、先日、罪を犯して斬首されるところを、バイシにかばわれ一命を救われた男たちであった。
【 バイシ 】
「おお……あんたたちか。なにも、あたしに義理立てするこたあないよ」
【 無頼漢 】
「いえっ……お助けいただいた恩、今こそ返すときっ!」
【 他の無頼漢 】
「少しでも、お役に立てればと……!」
【 バイシ 】
「やれやれ……ま、せいぜい、無駄死にしないようにしな」
【 無頼漢たち 】
『ははっ!!』
と、そのとき……
パカラッ……パカラッ……
【 無頼漢 】
「おっ……さっそく敵かっ!」
【 バイシ 】
「…………?」
【 他の無頼漢 】
「……なんだ、たった一騎?」
【 別の無頼漢 】
「俺たちに、任せておいてくださいっ! 行くぞっ!」
【 無頼漢たち 】
『うおおおっ……!』
意気盛んに、男たちが迎撃する――
【 バイシ 】
「――――! 待て、そいつは――」
――バシュウウッ!
【 無頼漢 】
「……えっ……!?」
【 別の無頼漢 】
「……あっ……!?」
ドシャッ……ドシャアッ!
敵に一太刀も浴びせることなく、男たちは次々と落馬していった。
【 他の無頼漢 】
「なっ……!?」
パカラッ……パカラッ……!
【 バイシ 】
「――なかなか、歯ごたえがありそうじゃないか! 名を聞こう!」
【 アシアンディーカ 】
「――われこそは、森羅指折りの勇士! 〈繚乱たるアシアンディーカ〉なり!」
【 アシアンディーカ 】
「その野太い首、今こそ頂戴つかまつるっ!」
高々と名乗りを上げながら、アシアンディーカがバイシに迫る――
ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!




