表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
372/421

◆◆◆◆ 9-72 鶴風の戦い(21) ◆◆◆◆

 ドゴッ! ゴロゴロッ!!


【 官軍の兵 】

「ひいいいっ!?」


 ――グシャアッ!


【 官軍の兵 】

「ぎゃあああっ!?」


 崖の上から次々と落下してくる巨石に、官軍の人馬が無情にも押しつぶされていく――


【 官軍の将 】

「く、くそっ、伏兵かっ……! 避けろっ!」


【 官軍の兵 】

「そ、そんなこと言われても――ひぎゃあっ!?」


 ――ゴシャアッ!!


 たちまち、山道は悲鳴と怒号が鳴り響く、阿鼻叫喚あびきょうかんの図と化す。


 ゴロゴロッ……ドドッ!


【 タシギ 】

「ちいいいッ……クソがッ! 洒落た真似をッ!」


 巨石群は、タシギたちにも容赦なく襲いかかってくる。

 いかに傷を他人に移せるとしても、石の下敷きになっては意味がない。

 転がってくる巨石を避けるべく、ミズキとの距離を取ろうとした瞬間――


【 ミズキ 】

「――はあッ!」


 その隙を狙いすましていたミズキの一撃が、タシギを襲った。


 ――ドシュウッ!


【 タシギ 】

「……ぬッ……ぐうッ!?」


 タシギの下っ腹に、直撃する。


【 タシギ 】

「ちいッ……こんなものッ……!」


 タシギの左眼が妖美に輝く――


【 タシギ 】

「――ぐうッ!? がッ……ああッ!?」


 ブシャアッ!


 真っ赤な鮮血と、苦悶の声がほとばしる。


【 タシギ 】

「ぐッ……がッ!? な、なんだッ……これ、はッ!?」


 ――ギュルルッ……!


 ミズキの放ったのは、空刀――ではなく。

 回転する独楽こまであった。


【 タシギ 】

「ぐ、ぎィッ……!? なんだッ……ぐうッ!? 傷が、移せなッ……が、ああああッ!?」


【 ミズキ 】

「――貴方のようにしぶとい相手は、ただ斬るだけでは手に負えませんからね。工夫が必要でした」


 先日の催命翔鬼さいめいしょうきとの戦いを経て思いついた、不死身めいた相手への対処法……

 すなわち、どうせ再生されてしまうならば、斬撃を与え続ければいい――

 そこで思い至ったのが、独楽に闘気をまとわせ、投げつけるという手段であった。


【 タシギ 】

「ぎいいッ……!? ぐ、がッ……アッ! があああッ!」


 タシギの体内に食い込んだ独楽が回転しながら、肉を、臓腑を、刻んでいく……!


【 タシギ 】

「て、てめええッ……あッ、ぐッ……アアアアッ!」


 激しい苦痛に襲われ、たまらずタシギの動きが止まる。


【 ミズキ 】

「もっとも、それだけでは、とどめにはなりませんので……」


 ミズキが馬を駆り、ひらりと身をかわした、直後。


 ――ドゴォオッ!


【 タシギ 】

「…………ッ!」


 転がり落ちてきた巨石が、目前に迫り――


【 タシギ 】

「ク――――クソがァァァァァッ!!」


 ――ゴシャアアッ!!


 ギン・タシギの姿は、見えなくなった。




【 セイレン 】

「わははははっ! いかがでしたかっ、我が落石の計っ! ズバリと決まったでしょうっ! まさに謀計百出ぼうけいひゃくしゅつっ!!」

 *百出……数多く、たくさん出るの意。なお、数が多ければいいというものではない。肝心なのは質である。


【 ホノカナ 】

「女官長さま――じゃない、紅雪華こうせっか殿の合図に従っただけでしたよね……!?」


【 ヨスガ 】

「――まあ、首尾よくいったのは確かだな!」


 新たに加わったホノカナやセイレンらと共に、山道を駆け続けるヨスガ一行。

 先ほどの落石は、あらかじめ逃走経路として選んでおいたこの道に、ホノカナらが仕掛けていた罠であった。

 もとより計画・立案したのはヨスガであって、セイレンが計を立てたわけではない。


【 ミズキ 】

「お見事でした、副頭目、皆さま方。――ああ、アイ老師せんせいも」


 ミズキが追いついてきて、一同をねぎらう。


【 セイレン 】

「なんだか、ことのついでに感謝されてるみたいなのですが!?」


【 ホノカナ 】

「女官長さま……いえ、紅雪華殿も、お見事でしたっ……!」


【 ヨスガ 】

「例の女、仕留めたのか?」


【 ミズキ 】

「さて……どうでしょうか。あの手のやからは、しぶといので」


【 セイレン 】

「なぁに、あれだけ大きな石に押しつぶされたのですから、どれだけの再生能力があろうと無駄というものですよ! ええっ、断言します!」


【 ホノカナ 】

「セイレンさんが自信満々に断言すると、すごく不安になるんですけど……!?」


【 ヨスガ 】

「いずれにせよ、今は構っておれぬ。先を急ぐぞ」


【 ミズキ 】

「はっ――」


 一同はさらに帝都を離れ、北西へと馬を駆けさせていく――

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ