表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
330/421

◆◆◆◆ 9-30 死の森 ◆◆◆◆

【 タシギ 】

「フン……逃げられると思うなよっ!」


 ホノカナたちを追って、タシギは馬を加速させ、鬱蒼うっそうとした森の中へと飛び込む。

 暗殺者上がりの彼女は、夜目が利く。

 夜の森といえども、ためらうことなく馬を駆けさせていく。


【 タシギ 】

(いくら飛鷹ひよう馬でも、森の中じゃあ速度は落ちる……!)


 一気に距離を詰め、片付けてやろう――とほくそ笑む。


【 タシギの部下 】

「ぐぇえっ!?」


 ドサッ……!


 背後から悲鳴が響き、地面に何かが落下する音がした。


【 タシギ 】

(木にぶつかったか? 間抜けめッ……!)


 だが、それは一度だけにとどまらず……


【 他のタシギの部下 】

「ぎゃっ……ああっ!?」


 ――ドサッ!


【 別のタシギの部下 】

「ぐっ!? がっ……!」


 ――ドッ!


 次々と断末魔が耳に届く。

 それは、木に激突した叫び声とは異質なものであった。


【 タシギ 】

「…………っ!?」


 さしものタシギも手綱を緩め、背後をうかがう。


【 残ったタシギの部下 】

「あ、姐御ぉっ……!」


 生き残りが、タシギのもとへ駆け寄ってくる――


 ――ドスッ!!


【 残ったタシギの部下 】

「ぐぁああああっ!?」


【 タシギ 】

「…………っ!」


 何者かが手下の背後に飛び乗ってきた直後、絶叫がほとばしった。


【 最後のの部下 】

「がっ……あぁっ……」


 ドサッ……


 最後の生き残りが、馬上から転がり落ちた。


【 タシギ 】

「……! こ、コイツ……!」


 鞍上に残っているのは、ひとりの女。

 先ほどは河甫コウホとか名乗っていた医師……いや、


【 タシギ 】

「てめえ……ただの医者じゃねぇなッ……!」


【 ???? 】

「――人を殺すのは、楽しいことではありません」


 そう告げるのは、〈救神双手きゅうしんそうしゅアン・ゼンキョク。


【 ゼンキョク 】

「ですが――これも、務めですので」


【 タシギ 】

「…………っ!」


 彼女の放つ静かな殺気に、タシギの肌があわ立つ。

 この感覚は、同業者のそれに近い。


【 タシギ 】

「てめェ……殺し屋かよッ!」


【 ゼンキョク 】

「そうではありませんが……まあ、似たようなものかもしれませんね」


【 タシギ 】

「しゃらくさいッ!」


【 ゼンキョク 】

「――――っ」


 ドドッ……!


 左右の腰から曲刀を抜き、ゼンキョクへと突き進むタシギ。


【 ゼンキョク 】

「ふッ――」


 気合と共に、ゼンキョクが鍼を投げつける。


【 タシギ 】

「当たるかよッ!」


 キィンッ!


 軽々と跳ね返し、一気に間合いに入る――


【 タシギ 】

「くたばりやがれッ!」


【 ゼンキョク 】

「…………!」


 ――ヒュッ!!


【 タシギ 】

「……おっ!?」


 ゼンキョクの肢体が、鞍の上から垂直に上昇した。

 跳躍したのではなく、文字通り浮き上がったのである。


【 ゼンキョク 】

「――はッ!」


 そのまま、ゼンキョクは宙返りして、タシギに強烈な蹴りを叩き込む。


【 タシギ 】

「クソ……がッ!」


 ――ブォンッ!


 しかしタシギもとっさに反応し、これを回避する。


【 ゼンキョク 】

「――――っ」


 そのまま、ゼンキョクは身をひるがえし、空中に立つ。


【 タシギ 】

(方術っ? いや……違う!)


 一見すれば、空に浮いているかのようだが――


【 タシギ 】

「――そらよッ!」


 ヒュッ……ヒュンッ!


 懐から飛刀ひとうを取り出し、立て続けに投げつけるタシギ。

 *飛刀……投擲用の武器。手裏剣のごときもの。


 だがそれらは、ゼンキョクからはまるで離れた方向へ飛んでいく――


【 ゼンキョク 】

「…………っ!」


 しかし、なぜかゼンキョクはすかさず身をひねると、枝の上へと飛び乗った。


【 タシギ 】

「やはりな……クククッ、他愛もないッ!」


 ギン・タシギは、せせら笑った。

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ