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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
325/421

◆◆◆◆ 9-25 真偽 ◆◆◆◆

【 ホノカナ 】

「(ちょっとっ、セイレンさんっ!?)」


 あまりにずけずけとした物言いに、思わずホノカナは顔を上げ、グンムたちの表情をうかがってしまう。


【 ホノカナ 】

(確かに、その件は、気になってたけどっ……!)


 それにしても、問い方があるというものだ。


【 グンム 】

「ほう、なぜそう思うのかな?」


 内心はどうあれ、グンムは落ち着いた様子で問い返してくる。


【 セイレン 】

「だって、あの御仁が、そんなまだるっこしい、他人任せな真似をするとは思えませんので! 天子さまを追い出したいんだったなら、自分でやるんじゃないですかねぇ?」


【 シュレイ 】

「――リク殿と言ったかっ? その言いよう、不遜ふそんであろう……!」


【 グンム 】

「……いや、構わん。確かに、疑問に思うのも無理はない」


 グンムがシュレイを制する。


【 グンム 】

「もとより、私がじかに国母さまのご意向をうかがったわけではない。ゆえに、本物かどうかを保証することはできぬ」


【 グンム 】

「私がこの密旨を拝したのは、みやこから千里の彼方であり、その真偽を確かめるすべはなかった。ゆえに現場の判断として、本物であると認め、ここまで軍を進めてきたわけだ」


【 セイレン 】

「ははぁ――だったら、今からでも国母さまに使者を出して、『これって本物なんですか?』って確かめればいいじゃないですか? それとも、もう確認されたんですかね?」


【 グンム 】

「ふむ……それは、」


【 シュレイ 】

「――本来ならば、そうすべきところであろう」


 シュレイが話を引き取って続ける。


【 シュレイ 】

「しかしながら、現在、国母さまは帝都を離れられ、朝廷の監視下にあるとか……そのような状況では、真偽を確かめるのは困難というもの」


【 セイレン 】

「う~ん、それはそうかもしれませんけど、都合のいい解釈じゃないですかねぇ? とどのつまり、あなたが実権を握って、好き勝手にやりたいだけなんじゃないですか?」


【 グンム 】

「…………」


【 セイレン 】

「――って、彼女が言ってました!」


【 ホノカナ 】

「……ええっ!?」


 いきなり押し付けられてギョッとしつつ、慌てて顔を伏せるホノカナ。


【 グンム 】

「なかなか手厳しい意見だ。だがまあ、気持ちはわからんでもない」


【 グンム 】

「――そうだな、このさい綺麗事を言うのはよそう」


 と、グンムは身を乗り出して。


【 グンム 】

「あんたの言う通りだ。俺が目指すのは、帝都の占領、そして朝廷の実権を手にすることで間違いない」


【 ホノカナ 】

「…………!」


 あっけらかんと大変なことを言い出すグンムに、ホノカナは息を呑む。


【 グンム 】

「だが、それは俺の欲望を満たすためじゃない。口はばったい言い方をするなら、天下のため――というやつだ」

 *口はばったい……広言するの意。


【 グンム 】

「長きに渡って、この国は雲上人うんじょうびとの連中によって、思うままに支配されてきた。その結果が、今の世の中のありさまだ。賊がはびこり、役人はふんぞり返り、一握りの者だけがこの世の春を謳歌おうかしている……」


【 グンム 】

「そんな世を変えるのが、俺の目的だ。そのためなら、どんな手段でも使ってみせる……それまでの話さ。わかってもらえたかな?」


【 セイレン 】

「……なるほど! ええ、よくわかりました!」


【 ホノカナ 】

(全然わかってなさそう……!)


 それはさておき、


【 ホノカナ 】

(やっぱり、この人は、変わってない……?)


 かつては、庶民のために平和を求める……と言っていたグンム。

 その本質に変化がないのならば、まだ話し合いの余地はあるのかもしれない……


【 ホノカナ 】

(でも……本当に……?)


 どこまでが真意なのかは、はかりかねるものがあった。

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