◆◆◆◆ 9-25 真偽 ◆◆◆◆
【 ホノカナ 】
「(ちょっとっ、セイレンさんっ!?)」
あまりにずけずけとした物言いに、思わずホノカナは顔を上げ、グンムたちの表情をうかがってしまう。
【 ホノカナ 】
(確かに、その件は、気になってたけどっ……!)
それにしても、問い方があるというものだ。
【 グンム 】
「ほう、なぜそう思うのかな?」
内心はどうあれ、グンムは落ち着いた様子で問い返してくる。
【 セイレン 】
「だって、あの御仁が、そんなまだるっこしい、他人任せな真似をするとは思えませんので! 天子さまを追い出したいんだったなら、自分でやるんじゃないですかねぇ?」
【 シュレイ 】
「――蓼殿と言ったかっ? その言いよう、不遜であろう……!」
【 グンム 】
「……いや、構わん。確かに、疑問に思うのも無理はない」
グンムがシュレイを制する。
【 グンム 】
「もとより、私が直に国母さまのご意向をうかがったわけではない。ゆえに、本物かどうかを保証することはできぬ」
【 グンム 】
「私がこの密旨を拝したのは、みやこから千里の彼方であり、その真偽を確かめるすべはなかった。ゆえに現場の判断として、本物であると認め、ここまで軍を進めてきたわけだ」
【 セイレン 】
「ははぁ――だったら、今からでも国母さまに使者を出して、『これって本物なんですか?』って確かめればいいじゃないですか? それとも、もう確認されたんですかね?」
【 グンム 】
「ふむ……それは、」
【 シュレイ 】
「――本来ならば、そうすべきところであろう」
シュレイが話を引き取って続ける。
【 シュレイ 】
「しかしながら、現在、国母さまは帝都を離れられ、朝廷の監視下にあるとか……そのような状況では、真偽を確かめるのは困難というもの」
【 セイレン 】
「う~ん、それはそうかもしれませんけど、都合のいい解釈じゃないですかねぇ? とどのつまり、あなたが実権を握って、好き勝手にやりたいだけなんじゃないですか?」
【 グンム 】
「…………」
【 セイレン 】
「――って、彼女が言ってました!」
【 ホノカナ 】
「……ええっ!?」
いきなり押し付けられてギョッとしつつ、慌てて顔を伏せるホノカナ。
【 グンム 】
「なかなか手厳しい意見だ。だがまあ、気持ちはわからんでもない」
【 グンム 】
「――そうだな、このさい綺麗事を言うのはよそう」
と、グンムは身を乗り出して。
【 グンム 】
「あんたの言う通りだ。俺が目指すのは、帝都の占領、そして朝廷の実権を手にすることで間違いない」
【 ホノカナ 】
「…………!」
あっけらかんと大変なことを言い出すグンムに、ホノカナは息を呑む。
【 グンム 】
「だが、それは俺の欲望を満たすためじゃない。口はばったい言い方をするなら、天下のため――というやつだ」
*口はばったい……広言するの意。
【 グンム 】
「長きに渡って、この国は雲上人の連中によって、思うままに支配されてきた。その結果が、今の世の中のありさまだ。賊がはびこり、役人はふんぞり返り、一握りの者だけがこの世の春を謳歌している……」
【 グンム 】
「そんな世を変えるのが、俺の目的だ。そのためなら、どんな手段でも使ってみせる……それまでの話さ。わかってもらえたかな?」
【 セイレン 】
「……なるほど! ええ、よくわかりました!」
【 ホノカナ 】
(全然わかってなさそう……!)
それはさておき、
【 ホノカナ 】
(やっぱり、この人は、変わってない……?)
かつては、庶民のために平和を求める……と言っていたグンム。
その本質に変化がないのならば、まだ話し合いの余地はあるのかもしれない……
【 ホノカナ 】
(でも……本当に……?)
どこまでが真意なのかは、はかりかねるものがあった。
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