◆◆◆◆ 9-14 条件 ◆◆◆◆
【 サノウ 】
「や、やれやれ……危機一髪でしたねぇ……よかったぁ、荷物もちゃんと返ってきて……」
拘束した賊どもを地下室に残して、一同は店内で寛いでいた。
厨房からは、美味しそうな匂いが漂ってくる。
【 ゼンキョク 】
「しばしお待ちを。今、薬膳を作っておりますので」
ゼンキョクが顔を出して、そう告げた。
【 ゼンキョク 】
「ああ、痺れ薬は入っておりませんので、ご安心を」
【 ホノカナ 】
「そ、そりゃそうですよね……」
【 セイレン 】
「むにゃ……ンン……いい匂いぃ……」
ようやくセイレンが目を覚ましかけてきた。
【 ホノカナ 】
「あ、やっと起きたんですかっ?」
今に至るまで寝入っていたので、地下室から担いで上がる羽目になったのである。
【 セイレン 】
「んん……? 知らない顔が……いや……どこかで会ったことがあったかも……? ん……うう~ん……(スヤスヤ)」
そのまま再びうつらうつらと居眠りをはじめるセイレン。
【 ホノカナ 】
「えええぇ……?」
【 ミナモ 】
「……ずいぶん、変わった御仁ですわね」
【 サノウ 】
「えへへ……ええ、変わってますよぉ……」
【 ホノカナ 】
「…………」
まったくもって、否定しかねるところだった。
腹ごしらえを終えたところで……
【 ミナモ 】
「さぁ、さっそく出かけるといたしましょう!」
【 ホノカナ 】
「でも、もう真っ暗ですし……今夜はここに泊って、明日の朝、出発する方がいいんじゃ?」
【 サノウ 】
「う、うん、その方がいい気がするなぁ~。お腹もいっぱいで眠くなってきたしぃ……」
【 ミナモ 】
「だらしないですわねっ……まぁ確かに、急ぐ必要はありませんわ。では、そういたしましょう!」
こうして、一夜を過ごし、朝一番に起つことにしたのだった。
そして、皆が寝静まった頃……
ギィ……
地下室の戸が開いた。
【 ホノカナ 】
「…………」
【 ゼンキョク 】
「…………」
蝋燭を手に無頼漢たちを見下ろしているのは、二人の女……すなわち、ホノカナとゼンキョクであった。
【 無頼漢たち 】
「…………っ!」
猿ぐつわを噛まされた酒場の店主ら賊たちが、呻き声をこぼす。
【 ホノカナ 】
「――あなたたちは明日、罪人として引き立てられることになります。嶺将軍のもとへ」
【 ゼンキョク 】
「嶺将軍は厳しい御方――貴方がたはおそらく、その日のうちに血祭りに上げられるでしょうね」
【 無頼漢たち 】
「…………っ!」
ジタバタと身悶えしている。
【 ホノカナ 】
「……ただし」
【 ホノカナ 】
「条件次第で、見逃してあげなくもありません。話を聞くつもりがありますか?」
【 無頼漢たち 】
「…………!(コクコク)」
皆そろって、頷いてみせている。
【 ホノカナ 】
「それじゃあ……」
と、男たちの猿ぐつわを外してやる。
【 酒屋のおやじ 】
「……っ、はぁ、はぁあっ……」
【 ホノカナ 】
「さて――」
ホノカナは男たちを眺めながら、
【 ホノカナ 】
「条件は簡単です。わたしたちの、同志になってください」
【 酒屋のおやじ 】
「ど、同志……?」
戸惑う男たちに、ホノカナは言う。
【 ホノカナ 】
「そう、わたしは人呼んで〈人侠烈聖〉――かの宝玲山の副頭目なのです!」
【 ホノカナ 】
「いざ、わたしと一緒に、天に替わって義をおこない、上は天子さまを支え、下は民草を助けましょう!」
【 無頼漢たち 】
「――――っ」
店主たちの顔に、さらなる困惑の色が浮かんだ……
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