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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
314/421

◆◆◆◆ 9-14 条件 ◆◆◆◆

【 サノウ 】

「や、やれやれ……危機一髪でしたねぇ……よかったぁ、荷物もちゃんと返ってきて……」


 拘束した賊どもを地下室に残して、一同は店内で寛いでいた。

 厨房からは、美味しそうな匂いが漂ってくる。


【 ゼンキョク 】

「しばしお待ちを。今、薬膳を作っておりますので」


 ゼンキョクが顔を出して、そう告げた。


【 ゼンキョク 】

「ああ、痺れ薬は入っておりませんので、ご安心を」


【 ホノカナ 】

「そ、そりゃそうですよね……」


【 セイレン 】

「むにゃ……ンン……いい匂いぃ……」


 ようやくセイレンが目を覚ましかけてきた。


【 ホノカナ 】

「あ、やっと起きたんですかっ?」


 今に至るまで寝入っていたので、地下室から担いで上がる羽目になったのである。


【 セイレン 】

「んん……? 知らない顔が……いや……どこかで会ったことがあったかも……? ん……うう~ん……(スヤスヤ)」


 そのまま再びうつらうつらと居眠りをはじめるセイレン。


【 ホノカナ 】

「えええぇ……?」


【 ミナモ 】

「……ずいぶん、変わった御仁ですわね」


【 サノウ 】

「えへへ……ええ、変わってますよぉ……」


【 ホノカナ 】

「…………」


 まったくもって、否定しかねるところだった。




 腹ごしらえを終えたところで……


【 ミナモ 】

「さぁ、さっそく出かけるといたしましょう!」


【 ホノカナ 】

「でも、もう真っ暗ですし……今夜はここに泊って、明日の朝、出発する方がいいんじゃ?」


【 サノウ 】

「う、うん、その方がいい気がするなぁ~。お腹もいっぱいで眠くなってきたしぃ……」


【 ミナモ 】

「だらしないですわねっ……まぁ確かに、急ぐ必要はありませんわ。では、そういたしましょう!」


 こうして、一夜を過ごし、朝一番に起つことにしたのだった。




 そして、皆が寝静まった頃……


 ギィ……


 地下室の戸が開いた。


【 ホノカナ 】

「…………」


【 ゼンキョク 】

「…………」


 蝋燭ろうそくを手に無頼漢ごろつきたちを見下ろしているのは、二人の女……すなわち、ホノカナとゼンキョクであった。


【 無頼漢たち 】

「…………っ!」


 猿ぐつわを噛まされた酒場の店主ら賊たちが、呻き声をこぼす。


【 ホノカナ 】

「――あなたたちは明日、罪人として引き立てられることになります。レイ将軍のもとへ」


【 ゼンキョク 】

レイ将軍は厳しい御方――貴方がたはおそらく、その日のうちに血祭りに上げられるでしょうね」


【 無頼漢たち 】

「…………っ!」


 ジタバタと身悶えしている。


【 ホノカナ 】

「……ただし」


【 ホノカナ 】

「条件次第で、見逃してあげなくもありません。話を聞くつもりがありますか?」


【 無頼漢たち 】

「…………!(コクコク)」


 皆そろって、頷いてみせている。


【 ホノカナ 】

「それじゃあ……」


 と、男たちの猿ぐつわを外してやる。


【 酒屋のおやじ 】

「……っ、はぁ、はぁあっ……」


【 ホノカナ 】

「さて――」


 ホノカナは男たちを眺めながら、


【 ホノカナ 】

「条件は簡単です。わたしたちの、同志になってください」


【 酒屋のおやじ 】

「ど、同志……?」


 戸惑う男たちに、ホノカナは言う。


【 ホノカナ 】

「そう、わたしは人呼んで〈人侠烈聖じんきょうれっせい〉――かの宝玲山ほうれいざんの副頭目なのです!」


【 ホノカナ 】

「いざ、わたしと一緒に、天に替わって義をおこない、上は天子さまを支え、下は民草を助けましょう!」


【 無頼漢たち 】

「――――っ」


 店主たちの顔に、さらなる困惑の色が浮かんだ……

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