◆◆◆◆ 9-7 苦衷 ◆◆◆◆
蒼白となっていたアルカナだが、やがて、
【 アルカナ 】
「ユイ殿っ……支度が終わったら、すぐにでもここを発ちたいのですが、いいですよねっ?」
【 ユイ 】
「お前、もしかしなくても、ひとりで発つ気か?」
【 アルカナ 】
「もちろんですっ。姉上をお助けに行かねばなりませんので!」
当たり前のように言うアルカナ。
その目は血走っており、トウマを説いていたときのような沈着な様子はかけらもない。
【 ユイ 】
「お前の役目は、殿下をお守りすることだろ?」
【 アルカナ 】
「それは、そうですがっ……ユイ殿が護衛されるなら、安心ですっ! このままでは姉上が危険なのでしょうっ!? もう、いてもたってもいられませんっ!」
【 ユイ 】
「気持ちはわかるが、そう焦るな。姐さんにもいろいろ考えがあるだろうし……」
【 アルカナ 】
「ですがっっ……そんな悠長にしていたらっっ!!」
ギリギリ……!
ユイの肩に、アルカナの手が食い込む。
【 ユイ 】
「いててっ! 相変わらず見かけによらない馬鹿力だなっ……だいたい、仮にお前ひとりで宮廷に乗り込んだとして、あいつを連れ出せるのかっ?」
【 アルカナ 】
「……っ、そ、そこはっ……そのっ、なんとか……なんとかがんばりますっ!」
【 ユイ 】
「急に根性論を持ち出すなっ。お前は姉貴のことになると、いつもその調子だな……」
【 アルカナ 】
「だ、だってっ……姉上に、姉上に、もしものことがあったりしたらっ、ぼくは……ぼくはっ……!」
ギシギシギシ……!
【 ユイ 】
「いででっ! だから掴むんじゃないっ……どのみち、俺もお前らを護衛して、嶺将軍のところまで連れて行ってから、みやこに行くつもりだっ」
【 ユイ 】
「いろいろ探ってくるから、それまで大人しく待ってろ、坊や!」
【 アルカナ 】
「……っ、う、ううっ……でもっ……」
【 ユイ 】
「お前、さっき殿下に講釈垂れてたよな? 時には立ち止まれ、って。姉貴の言葉に逆らうのかっ?」
【 アルカナ 】
「う……うううっ……」
【 アルカナ 】
「……わ、わかり、まし、た……」
【 ユイ 】
「……やれやれ」
ようやく解放され、力任せに圧迫された肩を振って顔をしかめるユイ。
【 アルカナ 】
「姉上っ……どうか、ご無事で……」
すっかりしょぼくれているアルカナの様子を見て、
【 ユイ 】
(こういうところだけは、歳相応だな)
などと、思ったのもつかのま。
【 アルカナ 】
「……もし、姉上に傷一つでもつけたヤツがいたならっ……ボッコボコにブン殴ってっ、ギッタギタに絞り上げてっ、石と一緒に袋に詰めて白竜湖の底に沈めてやりますからっ……!」
【 ユイ 】
「…………」
こいつならやりかねないな、とユイは思った……
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