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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
297/421

◆◆◆◆ 8-66 祝福 ◆◆◆◆

【 流渦深仙 】

「さて施主殿、我ら仙郷の者は、本来、地上の争いには関わらぬのが法である」


【 流渦深仙 】

「――誰が天下を取るかとか、誰がまつりごとを牛耳るかといったような話は、地上の者たちの問題であるがゆえに」


【 グンム 】

「…………」


 内心ドキリとしつつも、グンムは素知らぬ顔で頷いてみせる。


【 流渦深仙 】

「しかしながら、現在、邪法をもって世を乱す輩が地の底より湧き出でて、あまたの陰謀を企んでおる」


【 流渦深仙 】

「その規模、その剣呑さたるや、七年前の峰東ほうとうの比ではない」


【 グンム 】

「――――っ」


 七年前、峰東の地にて起きた〈五妖の乱〉……

 そこでは多くの将兵、人民が命を落とし、運命を変えられた。


【 流渦深仙 】

「このまま捨て置けば、一国の興亡にもまさる未曽有みぞう災厄さいやくとならん」

 *未曽有……今まで起きたことのないようなこと、の意。


【 流渦深仙 】

「それを阻止するためには、我らの力だけではかなわぬ。人間……就中なかんずく、英雄たる資質ある者の力が必要だ」

 *就中……とりわけ、中でも特に、の意。


【 流渦深仙 】

「――ゆえに、我ら幽聖岳の者は、貴殿に惜しみなく助力しよう。天下を安寧へと導くべく、励まれよ」


【 グンム 】

「……っ、ははっ……」


 グンムは、深々と一礼した。


【 流渦深仙 】

「故あって、あたし……いや、我は直接手を貸すわけにはゆかぬが、追って後詰ごづめを遣わそう」

 *後詰め……ここでは援軍の意。


【 グンム 】

「かたじけなく――」


【 流渦深仙 】

「(――まァ、こっちにもいろいろ事情があるンでね。さしあたりは、お前さンたちのお手並みを拝見させてもらうさ)」


【 グンム 】

「…………っ」


 頭の中に声が響き、グンムは当惑の色を見せる。

 流渦深仙はそんな彼にはかまわず、


【 流渦深仙 】

「――む。変わり種が、いるようだな」


【 アグラニカ 】

「えっ? あ……」


 アグラニカに目を向ける。


【 ウツセ 】

「…………っ」


 とっさに、ウツセが女王を守るように前に出る。

 害意は感じられないが、異国の者に対する神仙の感情がいかなるものか、計りかねたゆえである。

 そんなウツセの心情を知ってか知らずか、


【 アグラニカ 】

「どうも、はじめまして! サノウさんには、とてもお世話になりました!」


 屈託なく礼を言うアグラニカ。


【 流渦深仙 】

「……不肖の弟子が、少しでもお役に立てたならなによりだ。せいぜい、今後もコキ使っていただこう」


【 アグラニカ 】

「は、ははぁ……」


 一礼されて、戸惑い顔のアグラニカ。


【 流渦深仙 】

「では――今は、これにて。貴殿らが、よこしまなる道に堕ちることなく、世に平穏をもたらすことを、心より祈っておる――さらば!」


 流渦深仙がそう告げるや、


 ――ドドォッ!


 すさまじい勢いで噴き上がった水柱が、そのまま巨大な龍へと変化へんげした。

 そして、流渦深仙を載せたまま、空高くへ飛び去っていったのだった――

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