◆◆◆◆ 8-61 会盟 ◆◆◆◆
数日後。
獅水の地に、官軍と南軍の首脳陣が一同に会していた。
そこに集まった主だった人々は、
<官軍>
嶺・グンム:征南将軍、南征軍総司令代行
楽・シュレイ:グンムの参謀格
汐・ダンテツ:グンムの副将
嶺・グンロウ:グンムの司馬(千人将)
銀・タシギ:グンムの司馬(千人将)
楽・シンセ:特殊部隊・神鴉兵の隊長
虎王・ユイ:焦家の侠客
碧・サノウ:シュレイの弟弟子の方士
<南軍>
翠・ヤクモ:岳南巡察使、南寇王
辰・ウツセ:ヤクモの副官
翠・ミナモ:ヤクモの娘
翠・ドリュウ:飛鷹の戦士
三ツ羽のタイザン:飛鷹の戦士
大萬天・ゾダイ:三貴教の尼僧
<森羅軍>
嫋やかなるアグラニカ:森羅の女王
聡きヴァンドーラ:森羅の戦士
……と、いった面々であった。
この集まりは後の世において、〈獅水の会盟〉と称されることとなる。
*会盟……人々が集まり、誓い合うの意。
これらの人々のうち、誰と誰が挨拶をしたとか、誰それと久闊を叙したとか、いちいち記していてはきりがない。
*久闊を叙する……久しぶりの再会の挨拶をする意。
その中でも、いくつか、特記すべき場面に触れておくと――
【 ヤクモ 】
「――このようなはるか遠隔の地まで、女王陛下じきじきにご出馬いただき、このヤクモ、感謝に堪えませぬ」
【 アグラニカ 】
「いえ、こちらこそ、世に名高き翠公にお会いできて、光栄のいたりでございます」
南方の雄〈翠・ヤクモ〉と、東方の森羅の女王・〈嫋やかなるアグラニカ〉。
仮に建てた幕舎の中で、両者はふたりきりで初対面の挨拶を交わしていた。
【 アグラニカ 】
「――かつて翠公が岳南で起たれたからこそ、我らもまた共に兵を挙げ、宙の支配から脱することができました」
【 アグラニカ 】
「大恩ある翠公のお招きとあれば、万里の彼方とて遠くはございません」
【 ヤクモ 】
「かたじけない――」
などといった、堅苦しいやりとりを終えて……
【 アグラニカ 】
「と、張り切ってやってきたんですけど……どうも、妙なことになっちゃいましたね」
【 ヤクモ 】
「……いや、まさに」
昨日の敵は今日の友――とは言うものの、それが我が身に起こるのは、まれなことである。
【 ヤクモ 】
「思わぬ成り行きとなっておりますが……陛下には、ご納得いただけているので?」
【 アグラニカ 】
「ああ、私のことはアグラニカで構いません! 私も、ヤクモ殿とお呼びしてもいいですか?」
【 ヤクモ 】
「ええ――もちろんですとも」
急にざっくばらんな態度を示す女王の態度にやや当惑しつつも、頷いてみせる。
【 アグラニカ 】
「ありがとうございます! ヤクモ殿のことは、ウツセさんからもう耳にタコができるくらい聞かされましたけど、聞きしに勝る頼もしい御方……お会いできて、本当に嬉しいです!」
【 ヤクモ 】
「ふ、ふ……それはどうも」
【 アグラニカ 】
「それで……そうですね、私たちも、よりによって宙軍と手を組むっていうのは、さすがに戸惑ってるところはあるんですけど……」
つい数年前まで、森羅の地は宙の植民地的な扱いだった。
当然ながら、反宙感情は少なくないものがある。
【 アグラニカ 】
「まあ、でも、ヤクモ殿やウツセさんが言うことなら、疑う必要はないかなーって!」
【 ヤクモ 】
「ずいぶんと買っていただけているようだ。ご期待を裏切らぬよう、励みましょう」
【 アグラニカ 】
「こちらこそ!」
人なつっこく笑うアグラニカに、ヤクモは
【 ヤクモ 】
(聞きしに勝る人柄だな)
内心で苦笑しつつ、
【 ヤクモ 】
(……こうした若い力が、新たな世を築いていくのだろう)
と、改めて思うのだった。
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