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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
292/421

◆◆◆◆ 8-61 会盟 ◆◆◆◆

 数日後。

 獅水しすいの地に、官軍と南軍の首脳陣が一同に会していた。

 そこに集まった主だった人々は、



<官軍>


 レイ・グンム:征南将軍、南征軍総司令代行

 ガク・シュレイ:グンムの参謀格

 セキ・ダンテツ:グンムの副将

 レイ・グンロウ:グンムの司馬(千人将)

 ギン・タシギ:グンムの司馬(千人将)

 ガク・シンセ:特殊部隊・神鴉兵の隊長


 虎王コオウ・ユイ:ショウ家の侠客

 ヘキ・サノウ:シュレイの弟弟子の方士



<南軍>


 スイ・ヤクモ:岳南巡察使、南寇王

 シン・ウツセ:ヤクモの副官

 スイ・ミナモ:ヤクモの娘

 スイ・ドリュウ:飛鷹の戦士

 三ツ羽のタイザン:飛鷹の戦士


 大萬天ダイマンテン・ゾダイ:三貴教の尼僧



<森羅軍>


 たおやかなるアグラニカ:森羅の女王

 さときヴァンドーラ:森羅の戦士



 ……と、いった面々であった。

 この集まりは後の世において、〈獅水の会盟かいめい〉と称されることとなる。

 *会盟……人々が集まり、誓い合うの意。


 これらの人々のうち、誰と誰が挨拶をしたとか、誰それと久闊きゅうかつじょしたとか、いちいち記していてはきりがない。

 *久闊を叙する……久しぶりの再会の挨拶をする意。


 その中でも、いくつか、特記すべき場面に触れておくと――




【 ヤクモ 】

「――このようなはるか遠隔えんかくの地まで、女王陛下じきじきにご出馬いただき、このヤクモ、感謝にえませぬ」


【 アグラニカ 】

「いえ、こちらこそ、世に名高きスイ公にお会いできて、光栄のいたりでございます」


 南方の雄〈スイ・ヤクモ〉と、東方の森羅しんらの女王・〈たおやかなるアグラニカ〉。

 仮に建てた幕舎の中で、両者はふたりきりで初対面の挨拶を交わしていた。


【 アグラニカ 】

「――かつてスイ公が岳南がくなんで起たれたからこそ、我らもまた共に兵を挙げ、ちゅうの支配から脱することができました」


【 アグラニカ 】

「大恩あるスイ公のお招きとあれば、万里の彼方とて遠くはございません」


【 ヤクモ 】

「かたじけない――」


 などといった、堅苦しいやりとりを終えて……


【 アグラニカ 】

「と、張り切ってやってきたんですけど……どうも、妙なことになっちゃいましたね」


【 ヤクモ 】

「……いや、まさに」


 昨日の敵は今日の友――とは言うものの、それが我が身に起こるのは、まれなことである。


【 ヤクモ 】

「思わぬ成り行きとなっておりますが……陛下には、ご納得いただけているので?」


【 アグラニカ 】

「ああ、私のことはアグラニカで構いません! 私も、ヤクモ殿とお呼びしてもいいですか?」


【 ヤクモ 】

「ええ――もちろんですとも」


 急にざっくばらんな態度を示す女王の態度にやや当惑しつつも、頷いてみせる。


【 アグラニカ 】

「ありがとうございます! ヤクモ殿のことは、ウツセさんからもう耳にタコができるくらい聞かされましたけど、聞きしに勝る頼もしい御方……お会いできて、本当に嬉しいです!」


【 ヤクモ 】

「ふ、ふ……それはどうも」


【 アグラニカ 】

「それで……そうですね、私たちも、よりによってちゅう軍と手を組むっていうのは、さすがに戸惑ってるところはあるんですけど……」


 つい数年前まで、森羅の地はちゅうの植民地的な扱いだった。

 当然ながら、反宙感情は少なくないものがある。


【 アグラニカ 】

「まあ、でも、ヤクモ殿やウツセさんが言うことなら、疑う必要はないかなーって!」


【 ヤクモ 】

「ずいぶんと買っていただけているようだ。ご期待を裏切らぬよう、励みましょう」


【 アグラニカ 】

「こちらこそ!」


 人なつっこく笑うアグラニカに、ヤクモは


【 ヤクモ 】

(聞きしに勝る人柄だな)


 内心で苦笑しつつ、


【 ヤクモ 】

(……こうした若い力が、新たな世を築いていくのだろう)


 と、改めて思うのだった。

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