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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
288/421

◆◆◆◆ 8-57 落馬 ◆◆◆◆

【 タシギ 】

「さて……宰相閣下。思えば、アンタとの付き合いも長いけど……」


【 タシギ 】

「もし助かりたいなら、アタシに命乞いしてみなよ。上手にお願いできたら、助けてやるかもしれないよぉ~~?」


【 レツドウ 】

「…………っ」


【 シュレイ 】

ギン司馬、戯れは……」


【 タシギ 】

「はァ? 戯れじゃねーし。本気で、恥も外聞もなく命乞いしてきたら、助太刀してやるさ。閣下には、結構、恩もあるからさぁ~」


【 レツドウ 】

「…………」


【 タシギ 】

「ほら、言ってみなよ。馬から降りて、地べたに額すりつけて、お願いしてみなよっ。そうしたら、助かるかもよぉ~~?」


【 レツドウ 】

「…………っ」


【 レツドウ 】

「――ガクなにがしとやら。なぜ、わざわざこの者を呼んだ?」


【 タシギ 】

「はァ? なに無視してんだよッ……!」


【 レツドウ 】

「お前は黙っておれッ!」


【 タシギ 】

「――――っ」


【 シュレイ 】

「それは、先ほど言ったとおり、宰相に敬意を――」


【 レツドウ 】

「フン、欺瞞ぎまんだな」

 *欺瞞……あざむき、だますの意。


【 レツドウ 】

「そなたは、ただ恐れただけだ。一国の宰相を手にかけるという大罪を犯し、それを背負うことをな」


【 レツドウ 】

「ゆえに、殺しに慣れたこやつに任せ、少しでも重荷を軽くしようというのだ。つまらぬ魂胆よ」


【 シュレイ 】

「…………っ」


【 レツドウ 】

「そなたの覚悟など、そんなものだ。それしきの胆力で、天下を牛耳ぎゅうじろうなど、笑止千万しょうしせんばん――」


【 レツドウ 】

「私を排除すれば、楽になれるとでも? さにあらず。そなたたちは、私が負っていたものも引き受けねばならぬ。むしろ、苦しくなるばかりと知れ……!」


【 レツドウ 】

「グンムに伝えておけ。この私を討つことで、そなたは、天下の責をその肩に負うことになるのだ、とな……!」


【 シュレイ 】

「――――っ」


【 タシギ 】

「……っ、てめェッ……!」


 怒気をまとったタシギが、レツドウに迫る――


 ――ドシュッ!


【 タシギ 】

「なッ……!?」


 足元に矢が突き立ち、思わず歩を止めるタシギ。


【 聡きヴァンドーラ 】

「天下の宰相たる御仁の、末期まつごの言である! しかと聞き届けるがいい」


【 レツドウ 】

「ふん、森羅の者のほうが、よほど心得があるとみえる――」


 と、苦笑いして。


【 レツドウ 】

「せいぜい、我が死を利用するがいい、小童こわっぱども。冥府あのよで、そなたたちの所業、しかと見届けてくれようぞ……!」


 レツドウは懐から白い筒を出すと、そこから丸薬を取り出し、そのまま呑み込む。


【 レツドウ 】

「――――っ」


 ややあって、レツドウは落馬した。

 それを見届けて、ヴァンドーラが任務完了の合図となる鏑矢かぶらやを放つ。

 空を裂く矢音やおとは、どこかいているかのように響いた――

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