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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
274/421

◆◆◆◆ 8-43 鋼骨 ◆◆◆◆

【 グンム 】

「――と、いう次第だ。しばし留守にするゆえ、後のことは任せる」


 レイ・グンムは、己の幕舎に配下の将を集めると、敵陣への使者となることを伝えた。

 一同は驚きつつも、将軍の判断ならば……と理解を示したが、中にはそうでない者もいる。


【 グンロウ 】

「どうか、俺も同行させてくだされ、兄者っ!!」


 そう訴えるのは〈レイ・グンロウ〉、グンムの異母弟にして、官軍きっての豪傑である。


【 グンム 】

「もう決めたことだ。貴公には留守を任せるゆえ、ダンテツ卿の命に従え」


【 グンロウ 】

「し、しかしッ……!」


 なおもグンムに食って掛かろうとするグンロウであったが、


【 ???? 】

「――落ち着け、孺子こぞう


【 グンロウ 】

「ぐっ……!?」


 腕を掴まれ、思わず呻き声をこぼす。

 官軍きっての巨体の持ち主であるグンロウを抑えたのは、壮年の武人である。


【 屈強な男 】

レイ将軍が決められたことだ。あたふたするな。見苦しいぞ」


【 グンロウ 】

「ダンテツ卿っ、しかし……!」


【 ダンテツ 】

「落ち着けと言っている――」


 ミシミシ……!


【 グンロウ 】

「ぐううっ……!?」


【 グンム 】

「ダンテツ卿、それくらいにしておけ」


【 ダンテツ 】

「は……」


 グンロウから離れて一礼したこの男は、グンムの部将のひとり〈セキ・ダンテツ〉。

 派手さはないが堅実な用兵と、いかなる物事にも動じない肝っ玉から〈鋼骨陣こうこつじん〉の異名で知られていた。

 グンムの信頼も厚く、この遠征軍にあっては、実質的な副将というべき立場にある。


【 グンロウ 】

「…………っ、申し訳ありません、ついっ、醜態を……」


【 グンム 】

「うむ、我が身を案じてくれるのはありがたいが……これも国家のためだ」


【 グンム 】

「なに、心配はいらぬ、頼もしい護衛もいることだしな」


【 グンロウ 】

「…………っ」


【 ダンテツ 】

「とはいえ、敵陣にレイ将軍がみずから乗り込むなどというのは、いささか大胆にすぎるとも思えますが……そこまでする必要が?」


【 グンム 】

「そういうことだ。これも天下国家のためである。……護衛の任、頼むぞ、〈血風翼将けっぷうよくしょう〉」


【 タシギ 】

「はあ……まあ、ご命令とあれば。……ふン、なんでアタシが……」


 不承不承という様子で頷くのは〈ギン・タシギ〉、やはりグンム軍の将である。

 もっとも、いわば預かりの立場であり、グンム直属というわけではない。


【 グンロウ 】

「くっ……なぜこのような女狐などにっ……!」


【 タシギ 】

「あア? やるってのかい、このデカブツが……!」


【 グンム 】

「よせよせ。……タシギ卿を選んだのは、適材適所というものだ。女連れの方が、相手の警戒も緩むであろう?」


【 グンロウ 】

「む、むむむ……そうかもしれませんが……」


【 タシギ 】

「…………」


 タシギはなにか言いたげであったが、口をつぐんでいる。

 その様子にチラリと目を向けて、


【 グンム 】

「――話は終わりだ。ダンテツ卿、後のことは任せる。万事、うまくやってくれ」


【 ダンテツ 】

「は……」


 言葉少なに頷いてみせるダンテツ。


【 グンム 】

「任せる。それでは皆、持ち場に戻れ」


【 一同 】

「はっ――」


 各将は一礼し、それぞれの陣へと戻っていく。


【 グンム 】

「おっと……タシギ卿は残ってくれ。まだ話がある」


【 タシギ 】

「…………」


 タシギは無言で、グンムの言葉に従った――

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