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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
272/421

◆◆◆◆ 8-41 使節 ◆◆◆◆

【 グンム 】

スイ将軍が降伏――ですと?」


 征南将軍たるレイ・グンムは、当惑の声をあげた。


【 レツドウ 】

「うむ」


 グンムとシュレイが密談を交わした、翌日のこと。

 ちゅう帝国宰相、ラク・レツドウの幕舎にて。


【 レツドウ 】

「つい先ほど、ヤクモめがこちらに申し出てきたのだ。これ以上、戦いを続けてもお互いに利はなし……ゆえに和を結びたい、とな」


 と、レツドウは書状を開き、グンムに見せた。


【 グンム 】

「ははぁ……なるほど」


 受け取った書状に目を通し、グンムは唸り声をこぼす。

 確かにそこには、和平を求める文面が記されているが、“降伏する”などとは一言一句も記されてはいない。

 しかし、官軍としては、賊と和睦という形を取るわけにはいかないので、建前上、降伏という表現が用いられるのだ。


【 レツドウ 】

「信じられぬか?」


【 グンム 】

「は――いえ、スイ将軍は、無用な血を流すのを好まぬ御仁。であれば、和平を望むこと自体は、驚くには値しませんが……」


【 レツドウ 】

「向こうから持ちかけてきたのが不審だ、と?」


【 グンム 】

「いえ……あちらにも事情はございましょうから」


【 レツドウ 】

「それで――だ。貴公はこの件、どう思う?」


【 グンム 】

「さて……あまりに予想外のことゆえ、即答もいたしかねますが」


 とっくに承知のことながら、知らぬ顔で困惑してみせるグンム。

 すでにレツドウとヤクモの間で話はついているのだろうが、あくまで『先方から降伏してきた』という建前を欲して、先ほどの書状を用意したのだろう。


【 グンム 】

「とはいえ、無用ないくさを避けられるならば、それに越したことはないかと」


【 レツドウ 】

「ふむ。賛同する、ということだな?」


【 グンム 】

「は……閣下のお考えは?」


【 レツドウ 】

「私とて、天子さまより預かった兵を、無為に損なうのは心苦しい。労少なくして功を得られるなら、それが最善であろう」


【 グンム 】

「なるほど。……では、今後はどのように?」


【 レツドウ 】

「うむ、まずは条件を詰めねばなるまい。ヤクモめにも顔が立つような形にせねばならぬからな」


【 グンム 】

「それもありましょうが……まずもって、この和議の件、信じてもよいものでしょうか?」


【 レツドウ 】

「ほう……偽りかもしれぬ、ということか?」


【 グンム 】

スイ将軍は、小細工をろうするような御仁ではありません。しかし、その周囲の者がよからぬことを企む可能性はあろうかと」


【 レツドウ 】

「では、どうせよと?」


【 グンム 】

「信の置ける者を使者として送り、スイ将軍の真意を計る……というのはいかがでしょうか」


【 レツドウ 】

「ふむ……それも一手だが、いったい、誰を遣わすというのだ?」


【 グンム 】

「ちょうど、スイ将軍とは昔馴染みで、それなりの地位にある者が陣中におります」


【 レツドウ 】

「と、いうと?」


【 グンム 】

「――不肖、このレイ・グンム、使者の任、つかまつりましょう」


 と、グンムは一礼した。

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