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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
258/421

◆◆◆◆ 8-27 幻影 ◆◆◆◆

【 カイリン 】

「今こソ……父の、仇をッ……!」


【 ユイ 】

「……さて……」


【 ヤクモ 】

「…………」


 それぞれの得物を手に、距離を取り合う三者。


【 ゾダイ 】

「…………っ」


 やや離れて、この様子を見守る尼僧ゾダイ。


【 ヤクモ 】

「二対一ならば勝負になる――と、思うか?」


【 ユイ 】

「当方、いささか腕に覚えはありますが……そこまで思い上がってはおりません」


【 ヤクモ 】

「ならば、侠の心に準じ、ここでたおれるもやむなし、と?」


【 ユイ 】

「いいえ――」


 ユイが手を振ると同時に、地面からゆらりと人影が浮かび上がる。


【 ヤクモ 】

「む……」


【 ユイ 】

「二対一では、お話になりますまいが……」


【 ユイ 】

「――五対一なら、勝負にはなるかと」




【 カイリン 】

「ッ!? こ、これハ──」


 他の誰よりも、カイリンが驚愕していた。

 突如、ユイと瓜二つの姿が三方に出現し、ヤクモを取り囲んだのである。


【 ゾダイ 】

「侠士殿が、四人……!?」


【 カイリン 】

「伏兵……いや、そうカッ、いつぞやの、分身ッ!」


【 ヤクモ 】

「ほう……話に聞く、忍びの術とやらか? 方術の類とも、違うようだが」


【 背後のユイ 】

「左様、つまらぬ芸ではありますが――さしづめ、〈影四陣かげしじん〉とでも申しましょうか」


【 ヤクモ 】

「驚いたな。ただの目くらましかと思ったが――」


 と、油断なく視線を四方に巡らせる。


【 ヤクモ 】

「――他の三人からも、同等の殺気を感じる。いったい、どういう仕掛けだ?」


【 右側のユイ 】

「それは――」


【 左側のユイ 】

「――ご自身で、味わっていただきましょう」


【 ヤクモ 】

「…………ッ!」


 ――シュタッ!


 前後左右から、四人のユイが一斉にヤクモに殺到する。


【 カイリン 】

「速イッ……!?」


 カイリンが反応する間もなく、一瞬にして距離を詰め、ヤクモの間合いに飛び込むユイたち。

 だが老将軍は、その迅速な動きに反応していた。


【 ヤクモ 】

「――ぬんッ!」


 正面に向かって、目にも止まらぬ斬撃を繰り出す。


 ――ドシュッ!


【 正面のユイ 】

「ぐはっ……!」


 鮮血を噴き散らしながら、一人目のユイが地に倒れる。

 そのまま、返す刀で――


【 ヤクモ 】

「ふッ!」


 ――ザシュウッ!


【 右のユイ 】

「ぐぁっ……!」


 上下に両断された二人目が、真っ赤な血煙をあげて転がる。

 その間に――


【 左のユイ 】

「――――ッ」


【 背後のユイ 】

「――――ッ!」


 残ったふたりが、ヤクモに密着するほど距離を詰めていた。


【 ヤクモ 】

「ぬうッ!」


 ――パキィッ!


【 左のユイ 】

「ぎゃッ……!?」


 振り向きざまに放った裏拳で、三人目の顔面を粉砕する。

 そして――


【 背後のユイ 】

「――貰ったッ!」


【 ヤクモ 】

「…………ッ!」


 もはや回避しようのない至近の刃が、ヤクモの身に迫る――

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