表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
255/421

◆◆◆◆ 8-24 脱出 ◆◆◆◆

【 ゾダイ 】

大人たいじん……!」


【 ヤクモ 】

「フム――」


 ゾダイの切迫した声に、ヤクモは静かに頷いてみせ……


 ――フォン。


 横薙ぎに、剣を振った。

 ごく無造作な、まるで素振りのような一閃……

 と、見る間に。


 ――ブシャアッ!!


【 周囲の兵士 】

「ぎゃあああッ!?」


【 周囲の兵士 】

「ぐえええッ!?」


 群がり寄ってきた兵たちが、鮮血をほとばしらせ、断末魔の絶叫とともに次々と地面に転がっていった。


【 周囲の兵士たち 】

「な――」


 一瞬の早業に、絶句して足踏みする他の兵たち。


【 ヤクモ 】

「弓矢はあれば便利だが、なければ、手元にあるもので戦う……当然のことだ」


 顔色ひとつ変えず、淡々と口にする。


【 ヤクモ 】

「これが天下の禁軍(近衛兵)か? ずいぶんとなまったものよな。昔は、もう少し骨があったぞ」


【 周囲の兵士たち 】

「……っ、う、ううっ……」


【 周囲の兵士たち 】

「こ、これが、南寇王なんこうおうっ……!」


 ヤクモの凄まじい剣技を見せつけられ、息を呑む兵たち。

 いや、敵のみならず。


【 カイリン 】

「…………っ」


 カイリンもまた、仇と狙うヤクモの実力の一端を見せつけられ、絶句していた。

 そんな彼女をチラリと見て、敵兵に向き直るヤクモ。


【 ヤクモ 】

「どうした、弱兵ども。この首が欲しくば、本気でかかってくるがいい――」


 刀を持ち変えて、悠然と兵たちを見渡す。


【 ヤクモ 】

(これで意気阻喪いきそそうしてくれれば、儲けものではあるが……)

 *阻喪……気力が挫けるの意。


 しかし、なんといっても敵は多勢である。

 浮き足立ちながらも、


【 周囲の兵士たち 】

「の、狼煙のろしをあげろっ……援兵を呼べ!」


【 周囲の兵士たち 】

「そうだ、それまで時間を稼げば……!」


 数をたのみに、引き下がる様子もない。

 こうなってくると、足止めされてしまうのは是非もなかった。


【 ヤクモ 】

「仕方ない……強引に突破するか?」


【 カイリン 】

「いや……待テ! アタシに手があル……!」


 と、カイリンは懐からなにやら取り出すと、


【 カイリン 】

「――ぬンッ……!」


 そのまま、地面に叩きつけた。


 ――ボワァッ!!


【 ヤクモ 】

「――――ッ」


 朦朦もうもうたる煙が巻き起こり、たちまち視界が奪われる。


【 周囲の兵士 】

「くそっ、煙幕かっ!?」


【 周囲の兵士 】

「逃がすなっ! あの皺首しわくびを取れば、一生遊んで暮らせる褒賞だぞっ……!」


 兵たちの叫び声が響き渡る。


【 カイリン 】

「――こっちダッ!」


【 ヤクモ 】

「御坊――」


【 ゾダイ 】

「…………っ」


 ヤクモはゾダイの手を取ると、そのままカイリンの声を追い、駆け出した――

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ