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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
246/421

◆◆◆◆ 8-15 天命に託す ◆◆◆◆

【 ユイ 】

(――それにしても)


 ゾダイと別れ、南軍の陣を離れたユイは、ひとり思案に耽っていた。


【 ユイ 】

(どうも、妙なことになっちまったもんだな)


 ゾダイを経由して受けた返答には、ヤクモが直々に出馬し、レツドウとの会談に臨む――と、あった。

 それも、ほぼ単独での密会である。


【 ユイ 】

(こいつは、格好の機会ではあるが……)


【 ユイ 】

(まるで、暗殺してくださいと言わんばかりじゃないか……?)


 ヤクモの豪胆さに、舌を巻かずにはいられない。

 たとえなにかしらの企みがあったとしても、乗り越えられるだけの揺るぎない自信があるのだろう。

 ともあれ、これ以上ない好機なのは確かだ。

 しかし……


【 ユイ 】

(……やれるか? 今の俺に)


 かつてのユイは、組織の一員として、子供の頃は子供なりのやり方で刺客を務め、成長してからはより多くの血生臭い任務を果たしたものだった。


【 ユイ 】

(だが、これは違う……)


 同じ殺しではあっても、仇討ちだ。

 子が親を殺めた相手を討つのだから、なんら天に恥じるところはない。


【 ユイ 】

(そう……れっきとした仇討ちの、助太刀なんだからな)


 その方法も問う必要はない――いやもちろん、正々堂々と名乗りを上げて勝負を挑むのが最適ではあるが――こと仇討ちにおいては、筋道さえ通っていれば、手段は問われないものである。


【 ユイ 】

(そう、どんな手段であろうとも……)


 騙し討ちであろうがなんであろうが、仇討ちの正統性の前では意味をなさない。

 助太刀の力を借りるのも、これまた非難されることではなかった。

 なりゆきとはいえ、カイリンの仇討ちを手助けすると約束した以上、この絶好の機を見逃すわけにはいかない。


【 ユイ 】

(……ままよ。天命がどちらに味方するか、だ)


 ユイは腹をくくって、カイリンが潜んでいる山中へと足を向けた……




【 ユイ 】

「――と、いうわけだ」


【 カイリン 】

「おお……それはまさに、またとない機会ダ!」


 隠れ家にやってきたユイから詳細を告げられ、カイリンは喜色を露わにした。


【 ユイ 】

「恐らく、あちらは単騎か、供をひとり連れてくるくらいだろう。邪魔が入る可能性は低い」


【 カイリン 】

「ならバ――堂々と討つべシ! 何も知らずにノコノコ来たところを、待ち伏せしテ……!」


【 ユイ 】

「まあ待て。俺にも都合がある。やるなら、話し合いが終わってからだ」


【 カイリン 】

「むう、しかし……」


【 ユイ 】

「嫌だって言うなら、俺はこれ以上手伝えないな。あんただけでなんとかしてくれ」


【 カイリン 】

「ムム……それは困ル! ……正直、アタシだけでは、あの老いぼれには勝てヌッ……」


【 ユイ 】

(そこはちゃんとわかってるんだな)


【 ユイ 】

「それに、用事が片付いた後の帰り際なら、あちらも少しは気が緩むだろう? ――そこを、狙うって寸法だ」


【 カイリン 】

「おお、なんと狡猾こうかつな……! ソナタ、手慣れているナ!」


【 ユイ 】

「……まあ、昔取った杵柄きねづかというやつさ」

 *昔取った杵柄……過去に身に着けた技術の意。


 殺し屋時代の経験を活かすことになろうとは……と、苦笑せざるを得ない。


【 ユイ 】

「さて、それじゃ、もう少し細かい作戦を立てるとするか」


【 カイリン 】

「うむ、頼むゾ、朽縄くちなわドノ!」


【 ユイ 】

「……少しは自分でも考えてくれないか?」


 ぼやきつつも、ユイはカイリンを相手に、計画を詰めていった――

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