◆◆◆◆ 7-23 探究 ◆◆◆◆
一方、宴の中心から少し離れた野営地に目を向けると。
【 屍冥幽姫 】
「ふぅ……こんなところでしょうか……いかがです?」
【 ランブ 】
「うむ……問題なさそうだ。痛み入る、ウヅキ殿」
左手を閉じたり開いたりしつつ、礼を言うランブ。
【 屍冥幽姫 】
「シシシ……なんのこれしき……これも、ランブさんのためですので……」
僵尸と化したランブの左手。
先ほどの大暴れで損傷したために、屍冥幽姫ことウヅキがあれこれと手入れをしたところである。
【 屍冥幽姫 】
「……さすがに、いきなりあんなに荒っぽい扱いをされるとは、思ってもいませんでしたが……」
素手で甲冑をぶん殴るなどといった荒々しい運用は、さすがに想定していなかったようである。
【 ランブ 】
「すまぬな……だが、出し惜しみできる相手ではなかった」
【 屍冥幽姫 】
「いえいえ……おかげで、素晴らしい情報が得られました……まだまだ改良の余地がありそうで……シシシ!」
【 ゼンキョク 】
「ふむ……ふだんは呪符で拘束しているというわけですか。これをほどいたならば……?」
脇で治療(?)を見ていたゼンキョクが、興味深そうに指先でつついている。
【 屍冥幽姫 】
「あっ!? ちょ、ちょっと、勝手に触らないでくださいっ! まったく、油断も隙もないっ……本当に目ざといですね、晏老師……!」
【 ゼンキョク 】
「いやいや、単なる好奇心ではありませんよ。これがうまくいくなら、手足を失った者たちの光明になりますからね。ええ、ただの好奇心ではありませんよ、断じて」
【 屍冥幽姫 】
「わざわざ念を押すところが怪しいんですけど……」
【 ゼンキョク 】
「フフフ、貴方に怪しいと言われるとはいささか心外ですが……ちなみに、別人の手足を接続することは可能なのですか?」
【 屍冥幽姫 】
「さあ……まだ本人にすら適合するかどうかわからない段階なので、なんとも……理屈の上では、血縁者同士ならくっつきやすいとか、そういうのもあるかもしれませんね……シシシ!」
【 ゼンキョク 】
「ほう、なるほど……まだまだ確認の余地がありそうですね。もし、斬首された首を胴体につけたらどうなります?」
【 屍冥幽姫 】
「さぁ、その場合は――」
【 ゼンキョク 】
「上半身と下半身であったら――」
【 ランブ 】
「…………」
自分の左手を挟んで熱っぽく語っているふたりに、ランブは困ったような顔をしていたが、
――ズン……ズズン……
【 ランブ 】
「む……?」
地響きのような音にサッと立ち上がり、天幕を出る。
するとそこには、
【 砕嶺山 】
『…………』
【 ランブ 】
「おお……貴公か。先ほどの続きをしにきたか?」
【 砕嶺山 】
『……グゥゥ……』
ズゥン……と、担いでいた荷を地に下ろす。
それは、酒樽であった。
【 ランブ 】
「ほう……今度は飲み比べというわけか? よかろう、受けて立とう――」
【 砕嶺山 】
『グ……ゴォ……!』
【 ゼンキョク 】
「……飲酒しても支障はないのですか?」
【 屍冥幽姫 】
「さあ、あまり度が過ぎなければ、たぶん問題は……ああ、でも、限界に迫る様子も見てみたいかも……シシッ……」
さまざまな、宴の楽しみ方があるようであった。
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