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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
227/421

◆◆◆◆ 7-23 探究 ◆◆◆◆

 一方、宴の中心から少し離れた野営地に目を向けると。


【 屍冥幽姫しめいゆうき 】

「ふぅ……こんなところでしょうか……いかがです?」


【 ランブ 】

「うむ……問題なさそうだ。痛み入る、ウヅキ殿」


 左手を閉じたり開いたりしつつ、礼を言うランブ。


【 屍冥幽姫 】

「シシシ……なんのこれしき……これも、ランブさんのためですので……」


 僵尸きょうしと化したランブの左手。

 先ほどの大暴れで損傷したために、屍冥幽姫ことウヅキがあれこれと手入れをしたところである。


【 屍冥幽姫 】

「……さすがに、いきなりあんなに荒っぽい扱いをされるとは、思ってもいませんでしたが……」


 素手で甲冑をぶん殴るなどといった荒々しい運用は、さすがに想定していなかったようである。


【 ランブ 】

「すまぬな……だが、出し惜しみできる相手ではなかった」


【 屍冥幽姫 】

「いえいえ……おかげで、素晴らしい情報データが得られました……まだまだ改良の余地がありそうで……シシシ!」


【 ゼンキョク 】

「ふむ……ふだんは呪符で拘束しているというわけですか。これをほどいたならば……?」


 脇で治療(?)を見ていたゼンキョクが、興味深そうに指先でつついている。


【 屍冥幽姫 】

「あっ!? ちょ、ちょっと、勝手に触らないでくださいっ! まったく、油断も隙もないっ……本当に目ざといですね、アン老師せんせい……!」


【 ゼンキョク 】

「いやいや、単なる好奇心ではありませんよ。これがうまくいくなら、手足を失った者たちの光明になりますからね。ええ、ただの好奇心ではありませんよ、断じて」


【 屍冥幽姫 】

「わざわざ念を押すところが怪しいんですけど……」


【 ゼンキョク 】

「フフフ、貴方に怪しいと言われるとはいささか心外ですが……ちなみに、別人の手足を接続することは可能なのですか?」


【 屍冥幽姫 】

「さあ……まだ本人にすら適合するかどうかわからない段階なので、なんとも……理屈の上では、血縁者同士ならくっつきやすいとか、そういうのもあるかもしれませんね……シシシ!」


【 ゼンキョク 】

「ほう、なるほど……まだまだ確認の余地がありそうですね。もし、斬首された首を胴体につけたらどうなります?」


【 屍冥幽姫 】

「さぁ、その場合は――」


【 ゼンキョク 】

「上半身と下半身であったら――」


【 ランブ 】

「…………」


 自分の左手を挟んで熱っぽく語っているふたりに、ランブは困ったような顔をしていたが、


 ――ズン……ズズン……


【 ランブ 】

「む……?」


 地響きのような音にサッと立ち上がり、天幕を出る。

 するとそこには、


【 砕嶺山 】

『…………』


【 ランブ 】

「おお……貴公か。先ほどの続きをしにきたか?」


【 砕嶺山 】

『……グゥゥ……』


 ズゥン……と、担いでいた荷を地に下ろす。

 それは、酒樽さかだるであった。


【 ランブ 】

「ほう……今度は飲み比べというわけか? よかろう、受けて立とう――」


【 砕嶺山 】

『グ……ゴォ……!』


【 ゼンキョク 】

「……飲酒しても支障はないのですか?」


【 屍冥幽姫 】

「さあ、あまり度が過ぎなければ、たぶん問題は……ああ、でも、限界に迫る様子も見てみたいかも……シシッ……」


 さまざまな、宴の楽しみ方があるようであった。

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