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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
224/421

◆◆◆◆ 7-20 決着の黄昏 ◆◆◆◆

 ――ブォォンッ!!


 空を裂いて振り下ろされたミズキの踵落としが、催命翔鬼の頭蓋を粉々に蹴り砕く――

 と、その寸前。


【 催命翔鬼 】

「ちっ……いいいいっ!」


 ――パカッ!


 その肉体が左右に分かれ、真っ向唐竹割(まっこうからたけわ)りの一撃をかわしていた。

 *唐竹割り……縦にまっすぐ斬るの意。


【 ホノカナ 】

「またぁっ……!?」


【 左の催命翔鬼 】

「ケタケタ――」


【 右の催命翔鬼 】

「学習能力のないヤツッ!」


【 ミズキ 】

「それは――」


【 ミズキ 】

「――どうでしょうか」


【 左右の催命翔鬼 】

『ケタッ!?』


 バシュウッ!!


【 左右の催命翔鬼 】

『ギャッ……アアアアアッ!?』


 左右に分かれた催命翔鬼の肢体が、上下に両断されていた。

 くっきり、四分割である。


【 左上の催命翔鬼 】

「こ、コイツッ……」


【 右上の催命翔鬼 】

「時間差……でッ……!?」


 先ほどの一礼と共に空刀そらがたなを放っておいて、頭上からの蹴りで催命翔鬼を縦に分割させ……

 そこへ遅れて達した斬撃が、上下に切断したのである。


【 ミズキ 】

「――ふぅっ……」


 軽々と地上に着地するミズキ。


【 ミズキ 】

「手ごたえはありましたが……さて?」


 ――ドシャアッ!


 少し遅れて、寸断された催命翔鬼が地面に落下した。




【 ホノカナ 】

「や、やったっ……んですかっ?」


【 ヨスガ 】

「……ミズキを見てみよ」


【 ミズキ 】

「…………」


 ミズキは身構えたまま、油断を見せていない。


【 催命翔鬼 】

『キ――ロ――ロロロ……』


 グチュッ……ズルルッ……!


 四つに分かたれた催命翔鬼の肢体が、たちまちひとつに繋がり合う。


【 催命翔鬼 】

『――虚仮コケに、してくれたものだな――人の子、ふぜいが――』


 これまでの人を食ったような雰囲気とはまるで異なる、冷たい声が響く。


【 ミズキ 】

「…………っ」


【 催命翔鬼 】

『こうなれば――我も、全力をもって――』


 ……ムンズッ!


【 催命翔鬼 】

「……んがっ!?」


【 ミズキ 】

「…………っ!?」


【 砕嶺山 】

『グウウ……!』


 砕嶺山が、左手で催命翔鬼の胴を鷲掴みにしていた。


【 催命翔鬼 】

「て、てめっ……砕嶺山っ!? 放しやがれっ!」


【 砕嶺山 】

『グゴォ……オオ……』


【 催命翔鬼 】

「はア? 『ここは我らの負けである。潔く引き下がるべし』だア!? て、てめえっ……このっ、放せってのおおっ!」


【 砕嶺山 】

『グウォォォ……』


 そのまま催命翔鬼を掴んだまま、背を向けて歩み去っていく。


【 催命翔鬼 】

「ちょ、待っ……チクショ~ッ! 今日のところは、冥府あのよ送りは勘弁してやるよっ! 覚えておきな~~ッ!」


【 ミズキ 】

「…………」


 その様子を、呆れたように見送るミズキ。


【 ホノカナ 】

「こ、これって……つまり……?」


【 ヨスガ 】

「……うむ。どうやら、ケリがついたということらしいな」


【 ヨスガ 】

「されば――他に異存のある者はおらぬか?」


 一同を見渡して問う。

 ……今度こそ、名乗り出る者はなかった。


【 ヨスガ 】

「そうか、ならば――」


 いつの間にか手にしていた琵琶びわを、高らかに掻き鳴らす。


【 ヨスガ 】

「――宴と、洒落込もうぞ!!」


【 宝玲山の将兵 】

『おおおおおおおおおお――――っっ!!』


 かくして、大宴会の幕が開いたのである。

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