◆◆◆◆ 7-16 糸口 ◆◆◆◆
【 催命翔鬼 】
「…………っ!」
ミズキ渾身の一撃で、催命翔鬼は哀れバッサリ、胴切りとなった。
【 宝玲山の将兵 】
『おおおおっ……!』
【 ホノカナ 】
「あっ……ああっ!」
【 ヨスガ 】
「――――っ」
真っ二つになった催命翔鬼の姿に、どよめきが起こる。
【 ミズキ 】
「…………っ!」
しかしミズキは、とっさにその場から飛び退く。
【 催命翔鬼 】
「――――っ!」
振り下ろされた催命翔鬼の長剣が、空を切る。
それは、最後の悪あがきにすぎなかった――
と、思いきや。
【 催命翔鬼 】
「――ケ~タケタケタッ! ちょっぴり、危ないところだった……!」
高笑いしつつ、両翼を広げ、上半身だけで宙を舞っている。
よく見れば、切断面からは一滴の血も出てはいない。
【 ミズキ 】
「なるほど……道理で手ごたえがないと思いましたが」
呆れたように言いながら、身構えるミズキ。
【 ミズキ 】
「自分で、切り離した……というわけですか」
【 催命翔鬼 】
「キロロロ……そういうこと! なにせ、あたしは死神なんでね……! ケ~タケタケタッ!」
翼をパタパタとはためかせながら、ケタケタとせせら笑う催命翔鬼。
【 ホノカナ 】
「し、死神だからって、そんなのアリなんですかっ……!?」
唖然となるホノカナ。
だいぶ常識離れの存在には慣れてきたつもりだったが、まだまだ世は広いようだ。
【 ゼンキョク 】
「ふむ、もとより人間ではなく、さりとて神仙の類でもなし……といって、妖魔でもないようですが?」
【 ヨスガ 】
「……いろいろな者がいるものだな」
【 バイシ 】
「あっはははは! 宝玲山は、来る者拒まずだからねえ」
【 ホノカナ 】
「いくらなんでも、懐が広すぎるんじゃないですか……!?」
などといった、周囲の戸惑いをよそに。
【 催命翔鬼 】
「ケタケターッ! 生身の人間ふぜいが、死神にかなうと思うなよッ!」
再び上空へと羽ばたき、まっしぐらに強襲してくる催命翔鬼。
これを回避したミズキだったが、
――ガキィッ!
【 ミズキ 】
「うっ……!?」
突然迫ってきた中段蹴りを、かろうじて受け止める。
見れば、切り離された催命翔鬼の下半身がひとりでに動き、蹴りを見舞ってきていたのだ。
【 ミズキ 】
「まったく、デタラメなっ……!」
距離を取りつつ、さしものミズキもぼやかずにはいられない。
【 催命翔鬼 】
「キロロ……! これでわかっただろオ? 人間ふぜいじゃあ、死神の相手にはならないってねっ! ……よいしょっと」
――ヌチャッ……
不敵に笑う自称・死神の、分離していた上下半身が合体し、元通りとなる。
【 ミズキ 】
「さあ、それはどうでしょうね」
埃を払いながら、静かに告げる。
【 ミズキ 】
「いささか厄介ではありますが……そろそろ、攻略の糸口は見えてきました」
【 催命翔鬼 】
「ハア? 抜かせッ……!」
【 ミズキ 】
「嘘だと思うなら、お見せしましょう――」
ミズキが優美に一礼する。
【 ミズキ 】
「――私なりの、死神退治を」
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