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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
217/421

◆◆◆◆ 7-13 巨人と死神 ◆◆◆◆

 将兵がサッと割れ、地響きと共に進み出てきたのは、


【 小山のような巨人 】

『ゴォオオッ……ゴゴゴォォ……』


【 ホノカナ 】

「…………っ!?」


 身の丈、十宙尺(約3メートル)をゆうに超える巨体の歩兵である。

 全身を甲冑で覆い、これまた巨大なつちを手にしている。

 さらには、


【 角と翼を持つ女 】

「ケ~ッタッタッタッ! 異存はないかって? そんなの、大いにあるに決まってるし!」


 角と翼の生えた女が巨漢の肩の上に腰かけ、甲高い声で高笑いしている。


【 ヨスガ 】

「初めて見る顔だな――名を聞こう!」


【 角と翼を持つ女 】

「キロロロ……知らずば教えてあげる、あたしは死神! 人呼んで〈催命翔鬼さいめいしょうき〉!」

 *催命翔鬼……「催命鬼」は死神の意。催命翔鬼は、さしづめ空飛ぶ死神、というところであろうか。


【 催命翔鬼 】

「こっちのでかいのは、〈砕嶺山さいれいざん〉! あたしの弟分よ!」


【 砕嶺山 】

『グゴォッ……オオオオォォッ……』


【 催命翔鬼 】

「ケ~タケタケタ! 『なにもかも気に入らない、ぶっ飛ばしてやる』って言ってるよ! 多分だけどォ!!」


【 ヨスガ 】

「ほう、そなたも同意見か?」


【 催命翔鬼 】

「はあ~? あったりまえじゃん! そんな特徴のない娘っ子の下につくなんて、まっぴらごめんだし――」


【 催命翔鬼 】

「――もっといえば、あんたみたいな小賢しいガキに従うのは、もっとごめんだしねえ! でしょオ? 砕嶺山っ!!」


【 砕嶺山 】

『グゥゴッ……ゴォオオオォ……』


【 催命翔鬼 】

「『いかにもさよう、き潰してくれる!!』だってさあ! 威勢がいいねえ~!」


【 宝玲山の将 】

「……っ、貴様たち、盟主に叛く気かっ?」


【 催命翔鬼 】

「はああ~? 異存があるかって聞かれたから、こうして答えてるだけじゃん。文句あるう?」


【 宝玲山の将 】

「盟主に従えぬのであれば、立ち去ればよかろう……!」


【 催命翔鬼 】

「ええ~? そんなケチ臭いこと言うんだあ? 宝玲山ってのは、誰でも受け入れるんじゃなかったっけえ~?」


【 ヨスガ 】

「それはそうだ。だが、我が盟主であることを認めぬのに、あえて留まるというならば――」


【 ヨスガ 】

「――つまり、我に取って代わりたい、ということだな?」


【 催命翔鬼 】

「ケ~タケタ! 小賢しい! ホ~ント小賢しい! でも、そういうわけ!」


 ――宝玲山に集っている者たちはさまざまな来歴を持つが、その多くは世に容れられない無法者である。

 そんな中でも、義侠という看板を掲げることで、ただの賊ではなく、世の乱れをうれい、救国のこころざしある一団として、結束を固めているのだ。

 もっとも、中にはこうして、義とか侠とかとは無縁な輩も混じっているのは是非もない。


【 催命翔鬼 】

「そらっ、やっちまいな、砕嶺山っ!!」


【 砕嶺山 】

『グゴッ……グオォゴゴゴォッ!』


【 ホノカナ 】

「…………っ!?」


 砕嶺山が巨大な槌を持ち上げ、ヨスガたち目がけて一気に振り下ろす――


 ――ブォオォンッ!!


【 ヨスガ 】

「――――っ」


 ――ガキイィンンッ!!


【 ホノカナ 】

「…………っ!?」


【 砕嶺山 】

『グゴォッ……オオッ!?』


【 催命翔鬼 】

「ンンッ……!?」


 振り下ろされた巨大な槌は、ヨスガたちに届くことはなかった。


【 ???? 】

「この御方に、指一本、触れさせはせん――」


 その重い一撃を受け止めたのは――二振りの、大斧。


【 ランブ 】

「――この〈双豪斧そうごうふ〉、ナギ・ランブあるかぎりはなッ!」

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