◆◆◆◆ 7-13 巨人と死神 ◆◆◆◆
将兵がサッと割れ、地響きと共に進み出てきたのは、
【 小山のような巨人 】
『ゴォオオッ……ゴゴゴォォ……』
【 ホノカナ 】
「…………っ!?」
身の丈、十宙尺(約3メートル)をゆうに超える巨体の歩兵である。
全身を甲冑で覆い、これまた巨大な槌を手にしている。
さらには、
【 角と翼を持つ女 】
「ケ~ッタッタッタッ! 異存はないかって? そんなの、大いにあるに決まってるし!」
角と翼の生えた女が巨漢の肩の上に腰かけ、甲高い声で高笑いしている。
【 ヨスガ 】
「初めて見る顔だな――名を聞こう!」
【 角と翼を持つ女 】
「キロロロ……知らずば教えてあげる、あたしは死神! 人呼んで〈催命翔鬼〉!」
*催命翔鬼……「催命鬼」は死神の意。催命翔鬼は、さしづめ空飛ぶ死神、というところであろうか。
【 催命翔鬼 】
「こっちのでかいのは、〈砕嶺山〉! あたしの弟分よ!」
【 砕嶺山 】
『グゴォッ……オオオオォォッ……』
【 催命翔鬼 】
「ケ~タケタケタ! 『なにもかも気に入らない、ぶっ飛ばしてやる』って言ってるよ! 多分だけどォ!!」
【 ヨスガ 】
「ほう、そなたも同意見か?」
【 催命翔鬼 】
「はあ~? あったりまえじゃん! そんな特徴のない娘っ子の下につくなんて、まっぴらごめんだし――」
【 催命翔鬼 】
「――もっといえば、あんたみたいな小賢しいガキに従うのは、もっとごめんだしねえ! でしょオ? 砕嶺山っ!!」
【 砕嶺山 】
『グゥゴッ……ゴォオオオォ……』
【 催命翔鬼 】
「『いかにもさよう、挽き潰してくれる!!』だってさあ! 威勢がいいねえ~!」
【 宝玲山の将 】
「……っ、貴様たち、盟主に叛く気かっ?」
【 催命翔鬼 】
「はああ~? 異存があるかって聞かれたから、こうして答えてるだけじゃん。文句あるう?」
【 宝玲山の将 】
「盟主に従えぬのであれば、立ち去ればよかろう……!」
【 催命翔鬼 】
「ええ~? そんなケチ臭いこと言うんだあ? 宝玲山ってのは、誰でも受け入れるんじゃなかったっけえ~?」
【 ヨスガ 】
「それはそうだ。だが、我が盟主であることを認めぬのに、あえて留まるというならば――」
【 ヨスガ 】
「――つまり、我に取って代わりたい、ということだな?」
【 催命翔鬼 】
「ケ~タケタ! 小賢しい! ホ~ント小賢しい! でも、そういうわけ!」
――宝玲山に集っている者たちはさまざまな来歴を持つが、その多くは世に容れられない無法者である。
そんな中でも、義侠という看板を掲げることで、ただの賊ではなく、世の乱れを憂い、救国の志ある一団として、結束を固めているのだ。
もっとも、中にはこうして、義とか侠とかとは無縁な輩も混じっているのは是非もない。
【 催命翔鬼 】
「そらっ、やっちまいな、砕嶺山っ!!」
【 砕嶺山 】
『グゴッ……グオォゴゴゴォッ!』
【 ホノカナ 】
「…………っ!?」
砕嶺山が巨大な槌を持ち上げ、ヨスガたち目がけて一気に振り下ろす――
――ブォオォンッ!!
【 ヨスガ 】
「――――っ」
――ガキイィンンッ!!
【 ホノカナ 】
「…………っ!?」
【 砕嶺山 】
『グゴォッ……オオッ!?』
【 催命翔鬼 】
「ンンッ……!?」
振り下ろされた巨大な槌は、ヨスガたちに届くことはなかった。
【 ???? 】
「この御方に、指一本、触れさせはせん――」
その重い一撃を受け止めたのは――二振りの、大斧。
【 ランブ 】
「――この〈双豪斧〉、凪・ランブあるかぎりはなッ!」
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