◆◆◆◆ 7-2 多事多難 ◆◆◆◆
【 ヨスガ 】
「……やれやれだな」
自室に戻って腰を下ろし、ヨスガは重い息をついた。
【 ミズキ 】
「お見事でした、陛下」
【 ヨスガ 】
「フン……それもこれも、例の令旨のおかげであろう。国母さま、サマサマだな」
【 ミズキ 】
「それにしても、よもや、これほど思い切った手で来るとは……」
あらかじめ煌太后から、レンスを通じて内々に打診があったのである。
すなわち、自身は身を引くので、後はお任せする――と。
【 ヨスガ 】
「食えぬ御仁だ。本当に病なのかどうか……いずれにせよ、共倒れは避けたかったのであろうよ」
【 ミズキ 】
「そうですね、いかに〈二友〉といえども――」
煌太后を守護する二人の神仙、〈燃拳豪仙〉と〈火煉公主〉。
彼女たちの力は強大ではあるにせよ、
【 ミズキ 】
「――宝玲山の本隊と真っ向からぶつかれば、ただではすまないでしょうから」
【 ヨスガ 】
「……ひとまず鋭鋒を避けようという腹か。その上で、やっかいごとはこちらに押しつける……ありそうなことだな……あふぅ」
つい、欠伸がこぼれる。
【 ミズキ 】
「陛下、少しお休みになられた方が……」
【 ヨスガ 】
「それはそなたも同じであろう。あれ以来、寝ていないのではないか?」
【 ミズキ 】
「今、ここは戦場のようなものですので」
【 ヨスガ 】
「それはそうだ。しかし、いくさはまだ始まったばかりだぞ」
【 ミズキ 】
「まことに……問題は山積みです」
ミズキは、ため息をこぼした。
それも、無理はない。
火災によって甚大な被害を被った帝都の復興……
いまだ心服とは程遠い、文武百官の掌握……
そして、さらには――
【 ミズキ 】
「――各地の勢力がどう動くか、さだかではありません」
【 ヨスガ 】
「……それもあるが、急ぎ対処せねばならぬ問題がある」
【 ミズキ 】
「南征軍――ですね」
【 ヨスガ 】
「うむ」
宰相たる〈烙・レツドウ〉と征南将軍〈嶺・グンム〉率いる、十万余の遠征軍。
〈南寇〉こと〈翠・ヤクモ〉を討つべく、はるばる〈岳南〉の地へと出征しているわけだが……
【 ヨスガ 】
「急ぎ、使者を立てねばなるまい。怪しげな噂が耳に入れば、厄介なことになるだろうからな」
【 ミズキ 】
「まことに……誰を差し向けましょう?」
【 ヨスガ 】
「むむ……それなりの者でなくてはならんな。吟味しよう! それから――」
【 ミズキ 】
「宝玲山の者たちを、放ってはおけません。すでに、あちこちで悶着を起こしているようですし……」
【 ヨスガ 】
「それもあるな……」
まことに、寝ている暇もないほど、問題は積み重なっているのだった。
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