◆◆◆◆ 6-95 燎氏の変(81) ◆◆◆◆
【 ランブ 】
「あれは――〈小幻魔〉殿か……! これほどの力を……!?」
霊獣にまたがり、雲を呼び、雷を操る――
それはただの方士にはとうてい不可能であり、神仙の域に達しなくてはなせぬことである。
ギョクレンと名乗った童は、まだ十四、五ほどのようだが、それだけの業を軽々とこなしているのだった。
【 カズサ 】
「ちょっと〈副軍師補佐〉っ! 遅いのよっ! どこで道草食っていたのっ!?」
【 ギョクレン 】
「もちろん、師父を探していたのでございます! しかしなかなか見つけられず、苦労しているところでございまして……!」
【 カズサ 】
「はぁ~っ!? あなたねえ、状況をわかってるの!? 優先順位というものがあるでしょうが……!」
【 ギョクレン 】
「ええ、もちろんわかっているでございます! うちにとっては、師父がなによりも大事でございますゆえ!」
【 カズサ 】
「……あぁ、そうだったわね、あなたはそうだったわ……!」
【 馬のような生き物 】
「メエエエエエ……」
【 カズサ 】
「その霊獣なんなの!? 馬なの、羊なの!?」
【 ギョクレン 】
「さあ……うちにもよくわからないでございます! 気づいたら、なんとなくいたので!」
【 カズサ 】
「なんでそんなのに乗っていられるの!?」
【 ギョクレン 】
「ともあれ! 師父を探すにも、いかんせんこのデカブツが邪魔なので、さっさと排除するでございます!」
【 エキセン 】
「しかしっ……こやつ、しぶといぞ……!」
【 ギョクレン 】
「ええ、心得ているでございます! ちゃんと始末をつけるのは手間でございますので、手っ取り早くどこか別の世界へと吹っ飛ばす所存でございます!」
【 ミズキ 】
「べ、別の世界……!?」
【 ゼンキョク 】
「それは――しても、いいことなのですか?」
【 ギョクレン 】
「う~ん、正直、あまりよくはないのでございます! ではございますが、このさい仕方がないでございます――はぁあぁぁっ……!」
【 馬のような生き物 】
「メエエエエエ……!!」
――バチバチッ……バリバリバリッ……!!
【 千陣軍魔 】
『ガアアアアァッ……!!』
さらに雲から放たれる稲妻の出力が激しくなり、千陣軍魔の巨体が薄れていく――
【 ???? 】
「ちょ、ちょっと待ってぇっ! 待ってくださ~~いっ!!」
【 一同 】
「――――っ?」
緊迫した場面に似合わぬ声に、皆が視線を向ける。
【 ホノカナ 】
「……はぁっ、はぁっ……はぁあっ……!」
息を切らして城門へと駆け上がってきたのは、ホノカナであった。
【 ミズキ 】
「――ホノカナ? なぜここに――」
【 ホノカナ 】
「そ、それはっ――はいっ、どうぞっ!」
と、ホノカナが右手を高々と掲げる。
そこに握られているのは――
【 セイレン 】
「ギョクレン! 私ですっ! 私はここにいます~~~~っ!」
【 カズサ 】
「ふ、副軍師!? いつの間に、そんなに小さくっ……」
【 ホノカナ 】
「そこは! 話すと長くなるんですっ!」
【 カズサ 】
「なんで怒られたのわたし!?」
【 ギョクレン 】
「あっ――師父っ!? お久しぶりでございますっ! いったい今までどちらに!?」
【 カズサ 】
「小さくなってることは追及しないの……!?」
【 セイレン 】
「実は、隠し通路から――うぐっ、は、話せば長くなるので、後にしましょうっ!」
ホノカナにギュッと圧迫されて、説明を断念する。
【 セイレン 】
「このデカブツの始末のつけ方ですが――」
【 ギョクレン 】
「はい、〈概念〉をなんとかせねばならぬのはわかるのでございますが、すぐには割り出せず……手っ取り早く、異世界へ廃棄しようかと!」
【 セイレン 】
「はいダメ! それ絶対ダメ~~! あちらにもあちらの事情があるのでっ! もしそうしたら、あちらから報復されてしまうかもですっ!」
【 ギョクレン 】
「なるほど……なるほどでございます! しかし、ではどうすればっ……?」
【 セイレン 】
「こやつを成り立たせている〈糸〉を断つのです! さすれば、強引に結びつけられた要素は瓦解するでしょうっ!」
【 馬のような生き物 】
「メエエエエエ……」
【 ホノカナ 】
(セイレンさんがなんだか難しいことを……!? それにあの人、セイレンさんのお弟子さん!? どうして女装してるんだろ……あの生き物、馬? 羊? 実は山羊……?)
小難しい話が続いて、だんだん集中が切れてきているホノカナだった。
【 ギョクレン 】
「おおっ、さすがでございます、師父! となると、用いるべきは――〈同心断金〉の術でございますねっ?」
【 セイレン 】
「ん~っ……多分それ! うん、それでいきましょうっ!」
【 ホノカナ 】
「急に心もとなくなってる……!?」
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